千葉・酒々井町の住宅街で撮影された写真。
台風で冠水した町では、日を追うごとに水位が増し、水が手前側まで迫ってきているのが分かります。
なぜ、台風接近から1週間がたった今もなお、この地域では水が引かず、むしろ状況が悪化しているんでしょうか。
その原因とされているのが、付近で起きた盛り土の崩落です。
町が撤去を検討しているさなかに起きたといいます。
現地で何が起きているのか取材しました。
台風25号が関東を直撃して、28日で1週間。
千葉・酒々井町はいまだに一部が水に漬かったままの状態です。
当時、氾濫した高崎川が流れる酒々井町。
冠水が長期化しているのは、町の南部に位置する開運団地があるエリアです。
現地を取材すると、水が引かない理由が分かってきました。
23日に撮影された映像では家が浸水していて、その水位は約20cmに達していたといいます。
冠水した町の状況は悪化の一途をたどっています。
住民(23日):
きのう(22日)の夜は門の所までの水位。4時間前にこれ(土のうを)設置したときから水位が上がってきている。孤立に近い。水はずっと上がっている。
冠水前の様子と比べると、奥に見える三角形の鉄柱はブランコの一部だったことが分かります。
翌日も水は引いておらず、住民の話では、むしろ水位は上がり続けているといいます。
住民(24日):
今日の時点で10cm以上。昨日から比べて水位が上がってきてる状態。
4日前の時点で排水作業が始まり、冠水の解消へと動き出していましたが、週が明けた28日、再び町を訪れると、排水作業が始まったにもかかわらず、状況は改善されていませんでした。
先週「イット!」が話を聞いた男性は、「1週間たっても水位は上昇中。きょうがピーク」と話します。
玄関までの通路が浸水し、玄関脇に作った簡易的な橋から家の中へ入らせてもらうことに。
リビングの床下には、すぐそこまで水が迫ってきていました。
住民(28日午後):
夜寝てて、起きたらリビングが床上浸水している可能性もあるという不安があります。
さらに、男性によりますと、2日ほど前から浴槽の中に水が逆流してきたといいます。
なぜ、この辺りの冠水は解消されないのでしょうか。
その原因とされているのが、土砂崩れが起きていること。
開運団地の北側には、一部地下を通る小さな川があり、雨水はこの川を通って近くの高崎川に排水されます。
しかし、その途中で複数の土砂崩れが発生。
川がふさがり、せき止められたことで、住宅街の辺りに雨水がたまり続けているのです。
水が行き場を失い、周辺は天然ダムのような状態に。
開運団地に住む男性によりますと、土砂崩れが起きる前には、地下に続く排水路が見えていたといいます。
開運団地・鎌田英助副班長:
電柱が2本あるが、その中央辺りに暗渠(あんきょ)管の流入口がある。(Q. 普段は見えていた?)見えていました。
町によりますと、土砂崩れが発生したのは、四半世紀にわたり過剰な盛り土が放置されてきた場所だといいます。
住民からは、「我々は崩落するとは思っていませんでしたから。水路だけは健全化して、つまらないようにお願いしますと。平成19年くらいからお願いしていました」「(盛り土を)なんとかしてほしいというのはずっと、何年も前から。古くから住んでる方は特に訴え続けていたんですけど」と言った声が聞かれました。
高さ数十メートルに及ぶ盛り土。
町の資料には、10年前にも崩落したことを示す記録が残っていました。
町によりますと、業者側に撤去を求めてきたものの、資金難を理由に放置されてきたといいます。
そのため町は2026年2月、川の下流エリアで行政代執行による盛り土の撤去を開始。
今回崩落した上流エリアについても、同様に撤去を検討していたといいます。
現在、約10世帯が避難していますが、新たな台風の接近を前に、住民からは「次の台風までに何とかしてくれるかなと思ってたが、結局水位が引かないまま台風来ちゃうみたいなので、今回の台風すごく不安です」「ものすごく不安です。雨は降らないでほしいと願っています」と言った声が聞かれ、不安が拭えません。
町によりますと、台風26号が接近した場合、ポンプ車の排水作業も中止せざるを得なくなるといい、さらなる水位の上昇が懸念されます。
28日もこの辺りでは雨が降っているとみられ、台風26号が近づいてまた雨が降ると、今以上に水位が上昇する恐れもあります。
町では現在、国と連携してポンプ車以外での排水方法についても検討しているということでした。
この酒々井町は盛り土の放置について複数の事業者が関わっていて、建設工事で発生した泥などの産業廃棄物を処理した「再生土」を長い間放置していたとみています。
遠藤玲子キャスター:
過去にも過剰な盛り土で崩落が起きていたにもかかわらず今回も再び被害が出てしまった。
これ以上の被害が出ないようにも何とか対応をお願いしたいですよね。
榎並大二郎キャスター:
訴え続けてきた住民の皆さんは本当にやるせないと思います。
当面は、いかに排水を急ぐかが焦点ですが、町では今後、行政代執行や復旧にかかった費用などを盛り土に関わっている事業者に請求することも検討しているということです。
