北海道旭川市の女子高校生殺人事件の裁判で、判決言い渡し中の法廷に乱入し裁判を中断させた男が拘禁刑2年を求刑された裁判。
週明けの9月29日、判決公判が開かれる予定だ。
■報道を見て一方的に不満、護送車襲撃のためハンマー購入
起訴状などによると、建造物侵入と威力業務妨害の罪で起訴された住所不定、配達業の村山哲志被告(48)は6月22日、旭川地方裁判所で行われた女子高校生殺人事件の裁判員裁判で、内田梨瑚受刑者への判決言い渡し中に法廷内に乱入。
「このぼけ」「うらあ」「死刑やろうが」「何が27年じゃ」「しょぼいことぬかすなこらあ」などと繰り返し怒鳴り、約50分間にわたり判決宣告を中断させた疑いが持たれている。
検察の冒頭陳述によると、村山被告は5月、事件の報道を見たことをきっかけに、被害者とは何の関係もなかったにもかかわらず、内田受刑者は「死刑または無期懲役に処されるべきだ」と考えるようになったという。
6月上旬、検察官が懲役27年を求刑したとの報道を見て不満を募らせた村山被告は、「自らが内田受刑者を襲撃して暴力を加えよう」と決意。
同月17日ごろに旭川市内に赴いた。
■護送車襲撃を断念、裁判所を”下見”して法廷突入に切り替え
当初、村山被告は判決当日に内田受刑者の護送車を襲撃する計画を立て、ハンマーやスプレー缶を購入して準備していた。
しかし、護送車への襲撃は困難だと判断し、計画を変更。
同月19日には旭川地方裁判所で別の窃盗事件の公判を傍聴するなどして、裁判所内の構造を事前に把握していたことから、法廷内に直接突入する方法に切り替えた。
判決当日の6月22日、裁判所は厳重な警備体制を敷いており、傍聴には傍聴券の所持、金属探知機による検査、手荷物のロッカー預けが必要だった。
傍聴券を持っていなかった村山被告は、警備職員に「身内に危篤者がいるので傍聴人に伝えなければならない」とうそをつき、警備体制をかいくぐって法廷前までたどり着いたという。
午後3時から始まった判決宣告で、内田受刑者に懲役27年が言い渡された後、判決理由の読み上げ中に村山被告は法廷内に突入。
検察官席や裁判官・裁判員席付近を通過し、弁護人席付近まで押しかけて怒鳴り声を上げた。
法廷内では悲鳴が上がり、裁判員等として裁判に参加していた1人が村山被告から逃げようとして転倒し、右足を負傷。
村山被告はその場で取り押さえられ、現行犯逮捕された。
■検察「執行猶予は許容されない」、弁護側「計画性は極めて低い」
9月11日に開かれた初公判で、村山被告は起訴内容を認めた。
検察は論告公判で、「正常な司法手続の進行を不能ならしめる極めて悪質な犯行」と指摘。
事前に裁判所を下見し、当日は臨機応変にうそをついて警備をかいくぐるなど計画的であったこと、被害者や事件関係者と何の関係もないにもかかわらず、一方的に不満を募らせた「身勝手極まりない自己中心的な動機」であることを強調した。
さらに検察は、「自分の考えを押し通すためであれば司法手続の進行を害しても構わないという法を軽んじた者による同種事犯の抑制」のためにも執行猶予は許容されないとして、村山被告に拘禁刑2年を求刑した。
一方、弁護側は「計画性は極めて低いレベルだ」として寛大な判決を求めた。
判決は9月29日に言い渡される予定だ。
