2015年、長野県佐久市で車にはねられて死亡した中学生の母親が、犯罪被害者の支援を目的に、ウェブサイトを立ち上げました。「同じような被害を繰り返さないために」。母親の思いを取材しました。
■事故から11年…息子は「常に一緒」
今から11年前。交通事故で亡くなった和田樹生さん(当時15歳)。
母・和田真理さん:
「生きていたら27歳だったんですけれども、当時の樹生の姿をいつも思い浮かべながら、常に一緒にいるつもりで生活しています」
■コンビニ立ち寄り…事故直後の行動
2015年3月、佐久市で横断歩道を渡っていた当時、中学3年の樹生さんが車にはねられて死亡しました。
運転していた男性(当時42)は、過失運転致死の罪に問われ、執行猶予付きの有罪判決が確定しましたが、両親は納得できませんでした。
それは男性が事故直後、飲酒運転を隠すために現場を離れ、近くのコンビニで口臭防止剤を買って服用。
それから現場に戻って樹生さんを救護していたのを、起訴直前に検察から聞かされたためでした。
和田真理さん:
「どうしてその行為が救護義務違反ではないのか。そのとき息子の身に何が起きたのか、できるだけ明らかにしたい、そういう思いでした」
■最高裁で“ひき逃げ逆転有罪”
両親は独自で事故を調査。その結果、ひき逃げでの起訴につながり、事故から10年後の2025年2月、最高裁は男性の事故後の行動が「ひき逃げ」にあたると認定し、二審判決を破棄。懲役6カ月の実刑判決が確定しました。
和田真理さん(2025年2月):
「ずっと事件の日に気持ちの一部を置いたまま、動けない自分がいたんですけれども、これからはしっかりと今を生きなければならないというふうに自分では思っています」
■息子の誕生日に支援サイト開設
長かった裁判の日々に一区切りがついた、母親の真理さん。次は、自身の経験を同じような事件や事故に遭った被害者や遺族のために役立てたいと2つのウェブサイトを開設しました。
和田真理さん:
「交通犯罪に遭って、悲しみの中にいるご遺族が、少しでも必要としている支援や情報につながりやすくなればいいなと思い、このサイトを開設しました」
そのひとつが、「交通犯罪被害者遺族インフォメーション」です。行政の支援制度や警察の相談窓口、裁判の流れ、情報開示請求のやり方など、自身の経験から、被害者にとって必要となる情報をまとめています。
和田真理さん:
「ご遺族の中では、悲しみの中で、そういったことまでできない方もいるかもしれないんですけど、方法があるっていうことを知らずにできないのと、知っていてしないのでは違うと思います」
■「同じ思いが繰り返されないため」
もうひとつのサイトは、「ミッキーの樹」です。ミッキーは樹生さんの愛称で、事故の概要、被害に遭ってからの活動、判決や裁判の記録などについてまとめています。
2つのサイトは、樹生さんの誕生日の8月3日に開設。わかりやすいように、動画も編集中です。
「同じような被害を繰り返さないために―」。
母親の強い思いがサイトに込められています。
和田真理さん:
「(樹生さんは)きっと応援してくれてるんじゃないかと思います。本当でしたら、もう社会に出て活躍していた年齢ですので、やはり社会のために、自分の失われた命にも意味をもたせたいと思っているのでは、と想像しています。 今回のサイトを見ていただいた方に、事件を知っていただいて、今後、同じような思いが繰り返されないために、これからの未来につないでいけたらいいなと思っています」
