ベッドから男性が起き上がる、この場面。
脚本から俳優まで、全てAIが作ったAIドラマのワンシーンです。
中国では今、スマホで視聴するAIドラマが1話1分ほどのショート作品として急増中。
その市場規模を、中国の調査会社は約1兆7000億円に達すると予想しています。
2026年4月に中国で配信が始まった、冒険ミステリーを題材にしたドラマのワンシーン。
全てがAIで作られたこのドラマは、合わせて120分ある全編を5人の担当者が1カ月で制作したといいます。
激変するドラマの現場を取材するためFNNが訪ねたのは、上海にあるAIドラマを制作する会社です。
制作現場は実写の撮影現場とは違い静かで、聞こえてくるのはキーボードをたたく音だけです。
これまで多くの実写作品を手掛けてきたこの会社は、2026年4月から制作部門の一部をAIドラマに変更。
これにより、今まで実写のショートドラマ制作には70人から80人の働き手が必要でしたが、数人で制作可能になりました。
上海水木青洲科技有限公司CEO・趙凌彬氏:
今ならAIで1作品3万元(約70万円)から5万元(約118万円)で作れますが、以前は60万元余り(約1400万円)かかっていました。
上海水木青洲科技有限公司 制作チーム責任者・姜正博氏:
AIに「あなたは脚本家です」と伝え、作りたい内容や作品の構想を入力します。するとAIは脚本家の立場で、作品の大まかな内容を書いてくれます。
もちろん、演出部分もAI監督にお任せです。
AIソフトに対し、「あなたは映画撮影の経験が30年ある世界トップクラスの監督です」と、その気にさせるメッセージを打ち込めば、カメラをどう動かすのかのカメラワークに加え、セリフや効果音まで、細かな演出案が一発で出てくるのです。
そして、この脚本と登場人物の画像を入力し、クランクインすると、わずか数分で映像が生成されました。
こうしたコンピューター上の作業を繰り返し、修正を加えながら、1分間の動画を2~3時間で仕上げていくといいます。
では、AIドラマ作品を視聴者はどう受け止めているのでしょうか。
話を聞くと、「結構面白いですよ。今はどれもAIでしょう?」「(AIドラマは)不自然なところがあるから、実写の方がいいです」「AIドラマの登場人物は、実際の人物を撮影したものよりも生き生きしています」「AIは確かにきれいで見栄えもいいけど、それは視覚的なもので、本当の感情がにじみ出てくる感じがしません」といった意見が聞かれました。
中国の調査会社は、2026年上半期に公開されたショートドラマの平均再生回数について、まだ実写ドラマが大幅に上回っていて、その数はAIドラマの5倍近くに上るとしています。
急速に発展する動画生成AI。
中国のドラマ業界だけでなく、今後、海外の映像制作も大きく変える可能性がありそうです。
