5連休のシルバーウィークも23日が最終日。
各地Uターンラッシュで混雑していますが、関東で連休中唯一の晴れとなった22日、神奈川・箱根町では多くの人の姿がありました。
大涌谷へと続く道路は車で大渋滞。
そのため、駐車場に入ろうとする車で長い行列ができていました。
年間2000万人以上の観光客が訪れる人気の観光地・箱根。
しかし、車で訪れる人を悩ませる問題が…。
実は、箱根町のガソリンスタンドはわずか2カ所だけなんです。
訪れた人は「大涌谷に来るまで1目盛りくらいは渋滞にはまって減っちゃった。今は3目盛りです」「混んでいてメーターが1個2個だと焦っちゃいますね。やばい(スタンドが)ないないないって」「ここまで来て、ガソリンスタンドが一軒もなくて。高速乗ってから寄るしかないかなと」などと話していました。
箱根町にはもともと5カ所のガソリンスタンドがありましたが、2025年、2カ所が相次いで閉鎖。
2025年11月までガソリンスタンドがあった場所は、現在は更地となっていて何も残っていません。
さらに2026年3月には、箱根の人気エリアの1つ・宮ノ下のスタンドも閉鎖される事態となったのです。
山間部にあり、急勾配が多く、車は生活に欠かせない箱根。
スタンドの減少は温泉宿にも大きな影響を及ぼしています。
箱根でも珍しいという大涌谷の源泉100%かけ流しで、美肌温泉としても人気の、白く濁ったお湯。
「箱根強羅温泉 瑞の香り」では、箱根ロープウェーの乗り場がある早雲山駅や強羅駅へ無料送迎サービスを行っています。
箱根強羅温泉 瑞の香り 支配人・二宮一樹さん:
強羅駅から歩くとなると、おそらく1時間半ほどかかると思うので、基本的にはやっぱり送迎車がないと送迎もままならない状況です。
車で10分ほどの距離とはいえ、坂道が続くため、ガソリンの消費も大きいといいます。
しかし、最寄りのガソリンスタンドが2025年に閉鎖。
次に近かった場所も2026年に閉鎖されたため、現在は14km以上離れた小田原市のスタンドまで向かっているのです。
送迎車のドライバー・伯井弘行さん:
(ガソリンスタンドまで)40分ぐらいかかるかな。40分ではつかんな。湯本のあたり混んでたら1時間絶対かかるからね。(混んでたら)往復2時間はかかってしまう。
以前は最寄りのスタンドまで7分ほどだったのが、現在は、休日だと片道1時間かかることもあるといいます。
送迎車のドライバー・伯井弘行さん:
前はね、ここのすぐそこのところにあった。ここは完全に閉鎖した。やっぱり送迎サービスは絶対、必須条件。うちの旅館の近くで「送迎してません」というところはないと思う。みんな送迎しているんじゃないかな。
取材した日は平日だったため、出発から約40分で小田原市のスタンドに到着。
1km手前には箱根町のスタンドがありますが、ガソリン価格も小田原市のほうが安いため、ここまで来て給油しているといいます。
それでも…。
送迎車のドライバー・伯井弘行さん:
(宿戻るだけでガソリンが)1目盛りは十分減るもん。ガソリン入れに行ってガソリン使う、本当そうですよ。ガソリン食うよ、本当にガソリン食うよ。
さらに、スタンドが遠くなった分、燃料切れなどで送迎ができなくならないよう、携行缶を新たに購入するなど対応に追われています。
スタンドが減少しているのは箱根だけではありません。
自動車の燃費向上などに伴うガソリン需要の低下から、全国で少なくなっているのです。
1994年度のピーク時には全国で6万カ所を超えるスタンドがありましたが、2025年度末には2万6000カ所余りと半数以下に。
東京はピーク時から69%減少。
大阪や千葉、神奈川などで大幅な減少が続いています。
ガソリン需要が低下しているとはいえ、スタンドが重要な役割を果たすのが災害発生時です。
7月に起きた熊本地震では、自宅が被災し車中泊をする人などが給油を求めて長い列を作っていました。
さらに、緊急車両の他、医療機関などへの自家発電など、災害時のインフラも担っているガソリンスタンドですが、経営を取り巻く環境は厳しさを増しています。
帝国データバンクによりますと、この10年で1700社以上のスタンドが撤退したと推計している他、経済産業省は、約4割のガソリンスタンドが営業赤字だと発表しています。
そんな中、ガソリンスタンド不足に悩む箱根の人々にとって朗報が。
3月に閉鎖したスタンドを再オープンさせようと、別の企業が名乗りを上げたのです。
平沢商事・波多野洋平さん:
住民の方、業者さんの方、箱根町さんが困っているという話も聞きまして。晩秋と書かれておりますが、(オープンは)11月の初旬をめどに今、工事の方を進めています。
現在は11月の再オープンを目指し、工事が進められています。
平沢商事・波多野洋平さん:
前まではフルサービスのスタンドの形態だったんですけれども、フルサービスからセルフサービスという形式のスタンドに(変更)。今回セルフ化に伴いまして、AIの監視システムを導入することになっています。
セルフサービスで最大4台の同時給油が可能。
給油の際にはAIによる監視システムを導入したりと、経営の効率化も図るといいます。
重要なインフラでありながら、減少が続くガソリンスタンド。
経産省は、スタンドが少ない地域の約50の店舗に対し、セルフ式への改修費用などを支援するため、2027年度予算案に62億円を盛り込むよう求める方針です。
