「敬老の日」の21日、福岡県志免町のラーメン店では、ある事情を抱えた高齢者が1日限定のスタッフを経験しました。
志免町で創業54年を迎えた「天龍ラーメン」です。
看板メニューの豚骨ラーメンは、豚足を加えたとろみのあるスープが特徴です。
◆記者リポート
「濃厚です!すごく豚骨のコクがありすね。意外とスープがすっきりしていて全部飲み干してしまいそうなラーメンです」
21日のお昼時、ラーメンを提供していたのは…。
◆店員
「どうぞ。熱いから気を付けてください」
1日限定でスタッフとして働く78歳から88歳までの高齢者4人です。
4人は宇美町のデイサービス施設に通う認知症の当事者。
「敬老の日」で「世界アルツハイマーデー」でもある21日に開かれた、この取り組みには店主のある思いが込められていました。
開店前のラーメン店に集まった4人のおばあちゃん。
お揃いのエプロンを身に着け昼限定で1日限りの接客を担当します。
◆接客した藏田ミチ子さん(85)
「ドキドキしています。間違えないようにしないとね」
いえいえ、間違えていいんです。
4人はデイサービス施設に通う認知症の当事者で、21日のイベントは、その名も「注文をまちがえる料理店」です。
◆天龍ラーメン 森崎龍之介 代表
「我々からすると認知症の患者さんは見ないふりをしていこうというか、センシティブな問題だと思う。それでも認知症の患者さんにとっては、世間と繋がること、社会と繋がることが非常に重要だと思う」
スタッフのサポートを受けながら注文や配膳を担当します。
◆客
「煮卵をもう1つお願いします」
◆接客した田中京子さん(88)
「8番テーブルの方にゆで卵をください」
取り組みは去年に続いて2回目で、客からの苦情は一度もないといいます。
◆客
「すごく、はきはき喋られるし、すごいなと思った。これでみんなが(認知症について)知って優しい世界になっていけば」
◆客
「(認知症の亡き祖母に)力になったり寄り添えたら、よかったと思うことはある。身近にもそういう方がいるので、何か力になれたらと思う」
最年長の参加者、88歳の田中京子さんは…
◆田中京子さん(88)
「難しかね。(飲食の仕事は)したことないけんね」
不安そうな田中さんを娘と孫が励ましに来ました。
田中さんの表情もほころびます。
◆田中京子さん(88)
「楽しかったです。みんなと会えたことが」
◆田中さんの娘
「一生懸命 頑張っている姿を見て、うれしかった」
◆天龍ラーメン 森崎龍之介 代表
「間違えることをしても『まあいいか』と許せるような寛容な気持ちになれるような、われわれからも歩み寄るし、認知症の人からも歩み寄っていただいて、手を取り合う社会が生まれていけば」
認知症についての理解を広げる取り組みが、誰もが自分らしく暮らせる未来につながるかもしれません。
