マイナンバーカードを運転免許証として利用できる制度が去年3月から運用されました。免許更新の際にオンラインで講習を受けられるなどのメリットはあるものの、運用から1年半近くがたった現在も、福井県内での普及は1割ほどにとどまっています。普及が進まない背景について専門家に聞きました。
国が去年3月から運用を始めた「マイナ免許証」は、運転免許証とマイナンバーカードを一本化したもので、免許センターや警察署で切り替えの手続きができます。
切り替えは義務ではなく▼マイナ免許証のみ▼従来の免許証のみ▼両方とも持つ、の3つのパターンがあります。
マイナ免許証のメリットとして挙げられるのが▼引っ越しの際、免許センターでの住所変更の手続きがいらない▼更新の際の講習をオンラインで受けられる▼更新手数料が安くなるなどの点です。
西田茜記者:
「マイナ免許証に切り替えた方はどれくらいいるのか?免許を更新した方に聞きました」
【マイナ免許証のみにした人】
「オンライン講習を受けられるから」
「カードが1枚になるから」
【従来の免許証のみにした人】
「マイナ免許証に切り替えなければいけない理由がよく分からない。いつもの通りでいいと思った」
「このままでいい」
「理由はないが、面倒だから」
【「2枚持ち」を選んだ人】
「マイナ免許証だけだと不安。ただ、これから先はマイナンバーカードで行政の手続きが進められると思うから」
30人に尋ねたところ、マイナ免許証あるいは2枚持ちが合わせて9人でしたが、マイナ免許証に切り替えず従来の運転免許証のみが21人と圧倒的に多い結果になりました。
実際、県内では今年7月末までに免許を更新した約16万人のうち、マイナ免許証に切り替えた、あるいはマイナ免許証と従来の免許証の2枚持ちにした人は約1万9000人で、全体の1割強にとどまっています。
なぜ、マイナ免許証を選ばない人が多いのか。
国の経済政策を調査・研究するニッセイ基礎研究所の河岸秀叔さんに聞きました。
「3つ理由があって、1つはメリット自体がよくわからないこと。もう1つは、(メリットを)分かった上で選ばない。3つ目は、そもそもマイナンバーカードを持ち歩きたくないこと」
メリットを分かった上で選ばない人にはこんな考えがあると推測します。
「例えば、日常的に運転する人は(マイナ免許証を)なくしたら困るので切り替えないなど、そういう人がいても不思議ではない」
従来の免許証は即日で再発行できる一方、マイナ免許証の再発行は最短でも1週間から10日ほどかかるデメリットもあります。
そして、こんな点にも注意が必要です。
「マイナ免許証は、マイナンバーカード自体に情報が書いていない。免許証情報を提示する際には、スマホ(のアプリ)で読み取って提示するというワンクッションが必要になる」
例えば、レンタカーを借りる際には不便を感じるかもしれません。
「これまでよりは少しややこしくなっている」として、河岸さんはマイナ免許証のメリットやデメリットを国が十分に周知させる必要性を指摘します。
「気になっているのは、なんとなく選んでいる人が多いこと。マイナ免許証に切り替えた人の中でも、実はメリットをそんなに理解していない人が多い。マイナ免許証のメリットやデメリットがきちんと届いているのか、というところが気になるので、周知は必要だと思う」
便利な面もある一方で思わぬ落とし穴もあるマイナ免許証。十分に理解して自分の生活や価値観に合わせて切り替えを検討することが大切です。
全国調査では、マイナ免許証を“知っている人”は8割を超えています。知ってはいても、現在の免許証で困っていなければ、切り替える決め手にはなりにくい…普及の壁は、そこにあるのかもしれません。
