プレスリリース配信元:EO Tokyo Central
EO Tokyo Central、従業員522名・経営者470名の実態調査から見えた「多様な働き方」と制度の課題
起業家・創業者の世界的ネットワーク組織「EO(Entrepreneurs’ Organization)」の東京中央支部である「EO Tokyo Central」の政策提言委員会は、日本全国18チャプターのEO会員企業に所属する従業員522名およびEO会員である経営者470名を対象に、働き方と労働時間法制に関する実態調査を実施しました。
その結果、より責任ある仕事に挑戦したい働き手が一定数いる一方で、現行の労働時間規制と、働き手本人の意欲や望む働き方との間にギャップが生じている実態が明らかになりました。
当委員会は本調査結果をもとに、この秋から本格化する労働時間法制の議論に向けて、政策提言を行ってまいります。
【調査概要】
調査主体 :EO Tokyo Central 政策提言委員会
調査名 :働き方と労働時間法制に関する実態調査
対象者 :全国18チャプターの
・EO会員企業に所属する従業員(会社員・管理職)522名
・EO会員である経営者(個人事業主・法人代表)470名
調査期間 :2026年5月
調査方法 :インターネットリサーチ
【調査結果サマリー】
全国18チャプターのEO会員企業に所属する従業員522名および経営者470名を対象に実施した調査から、働き手の仕事への意欲と、現行の労働時間制度との間にあるギャップが明らかになりました。
1.働き手の“もっと挑戦したい”という意欲が明らかに。従業員の6割以上が「挑戦的な仕事・責任ある役割を任されたい」と回答。課長クラス以上では、76%が若手期の働き方が現在のキャリアにつながったと回答。
2.働く意欲があっても、労働時間の上限が制約に。3割が「集中したい時期に業務を切り上げた経験あり」。しわ寄せは管理職層に集中し、課長クラス以上では36%にのぼる。経営者の8割も、従業員から「上限を超えてでも働きたい」と申し出を受けた経験があると回答。
3.実際には高い裁量を持って働く人材も、現行制度の対象外に。「仕事の実態」と「制度の対象」にギャップ。提案型営業に従事する人材の約9割が上司の具体的な指示を受けずに業務を遂行し、管理監督者として扱われず自律的に働く層(回答者の51%)は平均3.63業務を兼務。
4.高度プロフェッショナル制度の年収要件のすぐ下にあたる年収800万~1,075万円の層で、8割以上が「目標達成に時間が足りない」と回答。
*本調査内容を利用する場合は、出典元として「EO Tokyo Central 政策提言委員会調べ」と記載ください。
■調査結果
1.働き手の“もっと挑戦したい”という意欲が明らかに。従業員の6割以上が「挑戦的な仕事・責任ある役割を任されたい」と回答。課長クラス以上では、76%が若手期の働き方が現在のキャリアにつながったと回答。
従業員522名に仕事への意欲について尋ねたところ、62%が「挑戦的な仕事・責任ある役割を任されたい」と回答しました。
また、回答者のうち課長クラス以上の従業員(n=269)では、76%が若手期の働き方が現在のキャリアにつながったと回答。働き手の中には、より責任ある仕事に挑戦したいという意欲を持つ人が一定数存在することに加え、現在マネジメントを担う層の多くが、若手期の働き方とその後のキャリアとのつながりを実感していることが分かりました。
【Q】現在の職場で、より挑戦的な仕事や責任ある役割を任されたいと思いますか/若手期の働き方が現在のキャリアにつながっていると思いますか。(いずれも5段階評価・単一回答)n=522/n=269

2.働く意欲があっても、労働時間の上限が制約に。3割が「集中したい時期に業務を切り上げた経験あり」。しわ寄せは管理職層に集中し、課長クラス以上では36%にのぼる。経営者の8割も、従業員から「上限を超えてでも働きたい」と申し出を受けた経験があると回答。
従業員522名に労働時間の上限規制について尋ねたところ、30%が、上限規制を意識して、仕事に集中したい時期に業務を切り上げた経験があると回答しました。役職別に見ると、課長クラス以上では36%、一般・リーダー層では24%となり、一般層の労働時間を厳格に抑えた結果、業務の最終的なしわ寄せが管理職層に集中している実態がうかがえます。また、経営者470名の80%が、従業員本人から「上限を超えてでも働きたい」という申し出を受けた経験があると回答しています。
さらに、意欲のある人材が十分に働けない理由を経営者に尋ねたところ、「法定の時間外労働の上限に抵触するため」が70%と最も多く、次いで「36協定の範囲に収めるための社内管理上の制約があるため」が52%、「裁量労働制など、実態に合った労働制度が導入できていないため」が20%となりました。一方、「会社として一律に残業を制限する方針・文化があるため」は12%にとどまりました。
働き手自身の意欲や企業の方針だけでなく、労働時間に関する制度やその運用が、働き方を左右する要因の一つとなっていることがうかがえます。
【Q】上限規制を意識して集中したい時期に業務を切り上げた経験(役職別)/従業員から「上限を超えてでも働きたい」と申し出を受けた経験/意欲ある従業員が十分に働けていない主な理由。n=522・n=470

3.実際には高い裁量を持って働く人材も、現行制度の対象外に。「仕事の実態」と「制度の対象」にギャップ。提案型営業に従事する人材の約9割が上司の具体的な指示を受けずに業務を遂行し、管理監督者ではなく自律的に働く層は平均3.63業務を兼務。
従業員522名のうち、顧客の課題を分析し、自ら提案内容を設計する「提案型営業」に従事する人は42%(220名)でした。そのうち91%が、上司から具体的な指示を受けずに業務を遂行していると回答し、88%が「もっと時間があればより良い成果を出せた」と感じた経験があると回答しています。
また、管理監督者ではなく、かつ上司の具体的な指示をほとんど受けずに働く層(266名・回答者の51%)を見ると、平均担当業務数は3.63で、53%が3業務以上を兼務、54%が2つ以上の職能を横断して業務を担っています。
このように、複数の業務を横断して担ったり、自らの判断で仕事を進めたりする人材が一定数存在する一方で、これらの業務はいずれも現行の裁量労働制の対象から外れています。実際の仕事における裁量の大きさと、制度上の対象範囲との間にギャップがある実態が浮かび上がりました。
【Q】提案型営業に従事する層の働き方/管理監督者ではなく自律的に働く層の業務実態。n=522(うち提案型営業 n=220、自律的に働く層 n=266)

4.高度プロフェッショナル制度の年収要件のすぐ下にあたる年収800万~1,075万円の層で、8割以上が「目標達成に時間が足りない」と回答。
高度プロフェッショナル制度は、一定の年収要件などを満たす高度な専門職を対象とした制度ですが、適用者は全体の0.005%程度にとどまります(※)。
従業員522名を対象とした本調査で、目標達成における時間不足の実感を年収別に見ると、高度プロフェッショナル制度の年収要件である1,075万円を下回る年収800万~1,075万円の層で83%と、最も高い結果となりました。一方、要件を満たす年収1,075万円以上の層(n=69)では、「成果に対する制約」を感じている人が94%にのぼりました。
要件を満たす層では制度上の時間管理が成果の制約となり、要件のすぐ下の層では制度の対象外のまま時間不足を感じています。制度の対象と実際の働き方との間にギャップがあることがうかがえます。
(※)厚生労働省「高プロ制度に関する報告の状況」令和7年3月末をもとにした推計
【Q】目標達成における「時間不足」と「成果に対する制約」の実感(年収別)/業務時間の充足度。n=522

■調査からの示唆
今回の調査から、働く人の健康や生活を守るための労働時間規制が重要である一方で、より挑戦したい、責任ある仕事を担いたいと考える人の意欲や、裁量を持って働く現在の仕事の実態と、現行制度との間にギャップが生じていることがうかがえます。
一律に「働いた時間」で捉えるだけでは、働く人それぞれの意思や仕事の実態、成果などを十分に反映できない場合もあり、多様化する働き方に対して、労働時間制度がどうあるべきかを改めて考える必要性が浮かび上がりました。
■EO Tokyo Central 政策提言委員会からの政策提言
本調査結果をもとに、当委員会は以下3点を軸とした政策提言を行ってまいります。
1. 裁量労働制を、働き方の実態に合わせる
提案型営業を対象業務に含めるなど、実際の仕事内容に即して対象範囲を見直すとともに、複数の業務を兼務する場合にも柔軟に制度を適用できるよう整理すること。さらに、導入時の手続きや運用を簡素化すること。
2. 高度プロフェッショナル制度の対象の考え方を見直す
対象となる業種・職種を限定的に定める現在の仕組みではなく、年収要件を軸に対象を判断する仕組みへの見直しや、実際の働き方を踏まえた対象範囲のあり方についての検討を行うこと。
3. 成長機会を、本人が選べるようにする
本人の意思に基づき、自律性の高い働き手が、仕事の特性や状況に応じて働き方を選択できる制度のあり方を、今後の労働時間法制における論点とすること。
なお、これらの提言はいずれも長時間労働を推奨するものではありません。働く人の健康の確保と本人の自由意思を前提としたうえで、「働きたい人が働けない」状態の解消を目指すものです。
〈今後の予定〉
2026年9月以降、内閣府 規制改革推進会議および厚生労働省をはじめとする関係先に対し、本調査結果に基づく提言を行ってまいります。
提言書の詳細は、当委員会コーポレートサイトにて改めて公表いたします。
■添付資料
本リリースには、以下の調査結果データを添付しています。
- 調査概要および回答者属性(従業員 n=522/経営者 n=470)
- 設問別の集計結果
- 主要なクロス集計(役職別・年収別・企業規模別)
調査結果データ一式:Google ドライブ(調査結果データ)
〈本リリースの引用・転載の際のクレジット表記のお願い〉
本リリースおよび添付資料に掲載した調査結果を引用・転載される際は、以下のクレジットの記載をお願いいたします。
クレジット:EO Tokyo Central 政策提言委員会「働き方と労働時間法制に関する実態調査」(2026年5月/従業員522名・経営者470名)
■EO Tokyo Central が目指すもの
EO Tokyo Central は、「起業家の可能性を最大限に引き出し世界を前進させる」というパーパスのもと、創業経営者同士が利害関係を超えて本音で対話し、互いに学び合うコミュニティを運営しています。
今回の調査で明らかになった「経営者の孤独」や「本音で相談できる相手の不足」といった課題は、まさにEO Tokyo Centralが創設以来向き合ってきたテーマでもあります。EO Tokyo Centralでは、守秘義務を前提とした少人数フォーラムを通じて、安心して悩みを共有し、経営者自身の成長につながる環境づくりに取り組んでいます。
■EO Tokyo Central について
EO(Entrepreneurs’ Organization)は、1987年に設立された、年商1億円以上の企業を率いる創業経営者による世界的ネットワークです。「起業家の可能性を最大限に引き出し、世界を前進させる」をパーパスに掲げ、現在は世界62カ国・220チャプター、19,500名以上のメンバーが所属しています。
日本では1995年にEO Japanが設立され、現在は全国18チャプター・約1,360名が活動しています。その中でも最大級のチャプターの一つであるEO Tokyo Centralには、499名の創業経営者が所属し、利害関係を超えて本音で学び合い、支え合うコミュニティを形成しています。
https://eotokyo.org
<団体概要・本件に関するお問い合わせ先>
EO Tokyo Central 政策提言委員会(起業家機構EO東京チャプター)
URL:https://eotokyo.org/
Mail:admin-central@eotokyo.org
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