かつて「息子のようにかわいがっていた」という男性に、なぜ拳銃を3発を発砲したのか。愛媛県四国中央市のスターバックスで起きた殺人事件は発生から2年8カ月が経ち、男性を殺害した罪などに問われている元暴力団幹部の男の裁判が、松山地裁で3日に始まりました。犯行のきっかけは地元の秋祭りを巡る対立としています。
殺人などの罪に問われているのは、四国中央市出身で、当時、指定暴力団・池田組の幹部だった前谷祐一郎被告(64)です。
起訴状などによりますと前谷被告はおととし1月、四国中央市のスターバックスのテラス席で、石川雄一郎さん(当時49)に拳銃を3発発砲し、殺害した罪などに問われています。また男性を殺害したあとは全国に指名手配され、約2か月後に岡山県内で逮捕されていて、逃走をめぐる犯人蔵匿教唆の罪や、逮捕された際に拳銃1丁と実包97発を所持していた罪などでも起訴されています。
初公判で前谷被告は「すべて間違いありません」と起訴内容を認め、「被害者と遺族に対して申し訳ないことをした。心から後悔している」と反省する態度を示しました。
裁判前の整理手続きで罪の成立には争いがなく争点は量刑。検察は犯行の悪質性や結果の重大性、前谷被告の責任の重さを踏まえて刑を決めるよう求めました。
一方で、弁護側は犯行に至った経緯を説明しました。
石川さんはかつて前谷被告が立ち上げた暴力団に所属。30年以上の付き合いがあり、2人は親子の盃を交わして前谷被告は息子のようにかわいがっていたといいます。しかし、その後に石川さんは前谷被告の組と敵対する組織に移り、2人の関係が変化。対立のきっかけになったのが、前谷被告が周囲から「祭りバカ」と言われるほど大切にしてきた地元の秋祭りだったとしています。
2022年の秋祭りの最終日、石川さんは敵対する組織のメンバー数十人とともに太鼓台の進行路に入り、祭りの実行委員らとの乱闘に発展。この際にネックレスが壊れたとして、石川さんは実行委員に「200万円を弁償してほしい」などと電話で金を求めるようになったといいます。
要求は翌年の秋祭りが終わったあとも続き、前谷被告は、直接話し合うため、石川さんを呼び出し事件の当日にスターバックスで面会。石川さんから「実行委員から絶対に(金を)取る。とことんやる」などと言われたことで、前谷被告は「このままでは秋祭りを壊される」と頭がいっぱいになり、気づいたときには拳銃の引き金を引いていたとしています。
法廷では傍聴席が満席になり、裁判が始まる前には手荷物を預け、金属探知機による検査が行われました。
また法廷内でも傍聴席との間に透明な仕切りが設けられたほか、イスがワイヤーで固定されるなど厳重な警備が敷かれました。
審理は4日以降も続き、判決は9月25日に言い渡される予定です。
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