福井県内の魅力を再発見する「小旅」のコーナー、今回は世界的アーティスト小野忠弘さんの絵画を集めた小さな美術館「ONOメモリアル」を訪ねました。
坂井市三国町の高台にひっそりとたたずむ四角い建物。大きな窓の向こうには絵画が並んでいます。
これらを手がけたのは、三国を拠点に活動した現代美術作家の小野忠弘さんです。青森県に生まれた小野さんは1942年に29歳で三国へ移住し、現在の三国高校の美術教師を務めました。
2001年に88歳で亡くなるまで三国を拠点に活動し、廃材を使った「ジャンク・アート」で表現する独特の世界観が国際的に高く評価されました。
そんな小野さんの作品を後世に残そうと、かつてのアトリエの跡地に小さな美術館「ONOメモリアル」が建てられました。建物をデザインしたのは、三国高校の教え子でアートディレクターの戸田正寿さんです。
学芸員の雑賀通浩さんは「美術館のデザインは、小野忠弘がよく扱ったブルーを基調とし、開放感のある建物となっている」と説明します。
現在は小野さんが亡くなって25年の節目の企画展が開かれ、親族から新しく寄贈された作品など21点が並んでいます。
「小野さんは、絵の具や色んな素材を使って作品の表面や質感を追及してきた。ここでは近くで作品を見て、小野忠弘の探究を味わうことができる」(学芸員)
美術館の隣には小野さんのかつての住まいが…。 壁に垂直に突き出た柱は、小野さんが独特の感性で作らせたものです。
また、小野さんの「古」に対する深い敬意から、日本の茶室の入り口をイメージした低い入り口も作られています。
「古」への敬意は1990年代に作られた集大成「BLUE」にも表れています。抑揚のある線や背景の色のにじみは、水墨画の技法を取り入れたものといわれ、小野さんいわく「詩と散文の境界」を表現しているということです。
世界的芸術家の感性を間近で楽しむことができる静かな空間です。
<ONOメモリアル>
えちぜん鉄道三国駅から歩いて10分ほど。坂井市龍翔博物館付近に専用の駐車場。
8月末までは毎日開館。9月以降は毎週金・土・日・祝日のみ開館。入場無料。
※8月30日までは福井市の県立美術館で、小野さんの作品を集めた企画展を開催中。
