地域の安心、安全を守る消防団についてです。団員の減少や高齢化が進む中、長野県塩尻市では女性にも活躍してもらいたいと、情報発信に加え女性更衣室や活動服の新調などハード面を整備。女性団員にも好評で、活動の幅が広がればと期待しています。
■女性団員に「真新しい活動服」
ポンプ車の点検を行う塩尻市消防団 広丘分団。速やかに消火活動が行えるよう、毎月行う重要な点検です。
三村香乃さん(24)は唯一の女性団員です。
5年前に入団しましたが、この日は真新しい活動服で臨みました。
塩尻市消防団 広丘分団・三村香乃さん:
「手(袖)も短くなって、もたつきもなくなって着心地がいい、動きやすくなった」
これまでは男性サイズを着ていましたが、市が新たに女性用を用意しました。
■団員減…3年前から定員割れ
塩尻市危機管理課 古厩絢さん:
「全国的に団員の減少、少子高齢化だったり、働き方の変化に伴って(塩尻市でも)団員がどんどん少なくなっている」
活動服の新調は、これまで少なかった女性団員を増やそうという取り組みの一つです。
消防団は、各市町村に配置される消防機関で、団員は、地域防災のリーダー的存在。
本業を持ちながら非常勤の地方公務員として活動し、団員には、年額報酬と活動に応じて出動報酬が支払われます。
火災現場での消火活動のほか、災害時は住民の救助や避難誘導などを行います。
■災害で増す消防団の重要性
しかし、消防団員は年々減少傾向です。
塩尻市の団員は2026年度848人で、3年前から870人の定員を下回っています。
少子化や共働きなどから、若手の入団が少なく、団員の高齢化も進んでいます。
一方で、消防団の重要性は増しています。
長野市では2019年の台風19号災害で千曲川の堤防が決壊する前、消防団員が半鐘を鳴らしたことが、住民のいち早い避難につながりました。
7月には熊本で最大震度7の地震が発生。
全国各地で大規模な自然災害が相次ぐ中、消防団も対応を怠ることはできません。
塩尻市危機管理課・古厩絢さん:
「地震の初期の対応が課題になっている。訓練を企画して、地震があったとき困らないよう対策をとっていく」
■情報発信に力「知らなければ怖い」
古厩さんは、松本広域消防局の消防士で2024年から塩尻市に派遣されています。
災害時は、住民に身近な消防団の活動が不可欠と考えていて、情報発信に力を入れています。
地元の人に団員の活動を知ってもらうイベントの開催や、ホームページを充実させ、団員の思いなどを伝えています。
塩尻市危機管理課・古厩絢さん:
「どんな活動をしているのか、スケジュール的な問題とか、負担感とか、災害に出ろと言われてもなかなか『知らなければ怖い』と思うので」
■普段は中学校の英語講師
塩尻市公式チャンネルのPR動画:
「やっぱり災害現場とか、女性が必要な場面もあるから」
女性団員の活動を伝えるPR動画に登場するのは、冒頭に紹介した三村香乃さん。
普段は中学校で英語を教える講師です。
消防士だった父の影響で5年前に入団。
消防団の活動は災害時以外にも、消火栓やポンプ車などの点検、訓練や啓発など毎月ありますが、平日の夕方や休日が多く、仕事との両立もできています。
塩尻市消防団 広丘分団・三村香乃さん:
「普段の学校の仕事とは全く出会うことのない業種の方とか、年代の方にたくさん会えて一緒に活動できるので、自分の価値観が広がった。それが“私の大きな財産”になっている」
■物置を改修し「女性更衣室」に
消防団はこれまで男性が中心で、塩尻市の女性団員は現在わずか9人。
2025年からは入団しやすい環境づくりに力を入れています。
こちらは北小野分団の詰所。
塩尻市危機管理課・古厩絢さん:
「もともと物置だったところを改修して更衣室に」
この分団にも女性が所属しており、2026年度、新たに女性専用の更衣室を確保しました。
窓にはブラインドを設置。和式トイレを洋式トイレに改修しました。
■女性用の服と更衣室で機動力アップ
三村さんが所属する広丘分団の詰所にも更衣室が設けられました。
指令を受けた団員は詰所に集まり、いち早く現場に駆けつけなければなりませんが、これまでは着替えの場所が課題でした。
三村香乃さん:
「いつも家で着替えてきていたが、有事の時、現場にすぐ行きたいときに車に活動服を積んでおけば、すぐここに来て着替えて出動できるのでありがたい」
これまで男性サイズの裾を切って着ていた活動服も女性サイズに新調され、機動力アップです。
消防団の仲間は―。
団員:
「非常に積極的に活動に参加してもらって男性と交じっても引けをとらない活動で非常に助かっている」
塩尻市消防団・堀井大輔団長:
「消防団に対するイメージが変わってもらえばと思うし、活動を行う若手団員も地域のためにやっている使命感がある(湧く)」
■女性、若手の入団で防災力アップを
今後も環境整備が進み、女性が入りやすくなれば、消防団の活動の幅が広がるのではと三村さんは期待しています。
三村香乃さん:
「もう少し女性が増えれば分業できたり、女性なりに気付けること、男性にやってもらうところが見えてくると思う。新しい人が入ってくるとうれしい」
住民の安心、安全を守る消防団。
災害時の対応や地域の防災力アップのため、女性や若い世代にも入団してもらえるよう、塩尻市では今後も対策を進めたいとしています。
