俳優の大東駿介さんが、訪れた街のうんちくや、まだ地元住民にも知られていないような魅力を探す「発見!てくてく学」。
今回訪れたのは、大阪・天満エリアだ。
街のシンボルである天神橋筋商店街には毎日多くの人が訪れ、数々の飲食店でにぎわっている。
その中でも寿司店が20軒以上ひしめき合い、関西屈指の「寿司の激戦区」と呼ばれているのだ。
なぜ天満で寿司文化がここまで発展したのだろうか?
大東さんが街を歩き、地元の人々や名店の大将に話を聞きながら、その秘密に迫った。
■ 地元の人も認める”寿司の街” 天満の三大寿司屋とは
商店街を歩き始めた大東さんは、犬を抱いた地元の女性に声をかける。
大東駿介さん:関西屈指の寿司激戦区ってご存知でした?
地元の女性:うん、天神橋筋5丁目のあたりやな。
天満には「奴寿司」「春駒」「すし政」という3つの老舗があり、いずれもこの地で50年以上愛され続ける名店だ。
地元ではこれらが「天満の三大寿司屋」と呼ばれている。
さらに最近は新しい寿司屋も増えているといい、激戦区はますます熱を帯びているようだ。
なぜこのエリアに寿司屋が集まったのかと尋ねると、女性はこう答えた。
地元の女性:天満市場が昔からあったんよ、大きな市場が。
天満には昔から総合市場があり、新鮮な食材が手に入る環境が整っていたのだ。
市場の存在こそが寿司文化の土台となっているのではないかと推察した。

■ 同業者も通う新店「天満鮨」
続いて大東さんは、「がんこ寿司」の店長から「勉強がてらに行く」と名前が挙がった「天満鮨」を訪れる。
2023年にオープンしたこの店は、本格的な寿司や魚料理をカジュアルに楽しんでほしいというコンセプトで、すべての料理を熟練の板前が注文を受けてから作る。
天満鮨の大きな特徴は、ネタによってシャリを使い分けていること。
さっぱりした魚には酸味のある白酢のシャリ、脂がのった魚には甘めの赤酢のシャリを合わせている。
大東さんも、本マグロの赤身、中とろ、大とろの食べ比べを堪能した!
大東駿介さん:ほどよく脂が溶け始めて、赤シャリとのバランスがまたいいですよ。
天満鮨の店長は「天満は飲みの街。おいしく食べて、おいしく飲んでもらいたい」と話す。

■ 天満三大寿司屋 創業から約70年の「奴寿司」
天満が寿司の激戦区になった理由をさらに深掘りすべく、大東さんは三大寿司屋の中でも特に古い歴史を持つ「奴寿司」へ足を運ぶ。
奴寿司は、和歌山出身の初代が19歳の時に天満で開業した店で、ことし11月で創業から70年目を迎える。現在は2代目の林良也さんが店を切り盛りし、3代目となる長男の姿もあった。
その日仕入れたおすすめの魚介を1貫ずつ握り、2貫一皿で出す「おまかせコース」が人気だ。
カウンターは半円形になっているが、そのワケを林さんはこう語る。
奴寿司・林良也さん:大阪は隣になったら友達じゃないですか。だから、すぐ喋ってもらえるようにカーブにしました。
常連客の中には40年通い続けている人もいる。父親に連れられて来たのがきっかけで、店主と同じく「2代目常連」だという方に魅力を聞くと、「むちゃくちゃ美味しいし、安いし。やっぱ大将がええんかなあ」とのこと。
大東さんもタラやふぐの白子、生のとり貝などを味わい、思わず「リピートしたい」と声を上げていた。

■ 看板に隠された秘密「浪花江戸前にぎり」の意味
奴寿司の看板には「浪花江戸前にぎり」と書かれている。その意味を林さんに尋ねると、天満に寿司店が増えた背景が見えてきた。
かつて大阪では、押し寿司、いなり寿司、巻き寿司などの「大阪寿司」が一般的だった。
握り寿司は江戸を中心に、新鮮な魚が手に入る地域で好まれていたものだった。
しかし1950年代に冷蔵庫が広く普及し始めたことで、大阪でも鮮魚を使った握り寿司の専門店が急増する。
「うちは握り専門の店ですよ」と示すために、看板に「江戸前にぎり」と掲げる店が多かったのだ。
奴寿司・林良也さん:ここは市場が周りにあって、手に入れた魚をすぐ目の前で割って握る。そこから握り専門のお寿司屋さんが、この辺でみんないっぱい固まってやった。

■ 市場の魚屋に育てられた寿司職人
市場が近くにあった利点は、新鮮な食材が手に入ることだけではなかった。
奴寿司・林良也さん:市場の人はすごく魚のことをよく知っていて。うちの親父はまだ当時19歳やったので、『こうやったらもっと美味しくなんねんで!』とか教えてくれる人がいっぱいいたらしいんですよ。
魚のプロである市場の人々から直接指導を受けながら腕を磨いていったというのだ。
奴寿司はどんどんレベルを上げ、一時期は天満エリアに5店舗を構えるまでに成長。
同じころに天満を代表する他の名店も開業したことで、このエリアは一気に寿司の激戦区へと発展した。
大東駿介さん:握りの精神を市場から引き継いだ思い、板前さんの思いが広がっていった激戦区ってことですね。

■創業から約200年の老舗「たこ竹」が守る“もう1つ”の大阪寿司
天満エリアには、握り寿司だけでなく伝統的な「大阪寿司」を守り続ける店もある。
大東さんが最後に訪れたのは、天保2年(1831年)創業の老舗「たこ竹」だ。
たこ竹では、関西人が愛する鯖の棒寿司や、彩り豊かな「箱寿司」を提供している。
箱寿司とは、明治時代に大阪で誕生した寿司で、木の枠の中に酢飯を敷き、穴子やエビといった高級食材を詰めて、ぎゅっと押して作るもの。
華やかなものが大好きな大阪ならではのアイデアから生まれた。

■手土産に大人気の特製ちらし寿司
手土産として大人気だというのが、特製のちらし寿司「上ちらし」だ。
酢飯には刻んだしいたけを混ぜ、穴子には特製の甘だれを絡め、1つ1つの食材を丁寧に味付けしている。
卵にはすり身を練り込み、独特の弾力を生み出しているのも特徴だ。
料理長の大塚さんは「このままこの味を残していきたいので、維持できるように日々努力です」と静かに語った。
大東さんは「今の話を、お土産を手渡した人にそのまま話したい」と感激しながら店を後にした。
(関西テレビ「newsランナー 大東駿介の発見!てくてく学」2026年7月23日放送)


