中古品の買取店が、日本各地で急増しています。
2023年時点での買取チェーンの店舗数は2万店に迫る勢い。大手コンビニチェーンと比較しても全くひけをとらない数字です。
街の人に聞いてみると「あちこちに増えてますよね」「ちょっと増えすぎちがう?」「どんどんどんどん増えてってる。異常ですわ」とその数の多さを実感している人も多い様子。
しかも、その店を切り盛りするオーナーの一人は「前職が看護師」という異色の経歴の持ち主。買取業界に独特の”仕組み”が生まれていたのです。
関西テレビ「newsランナー」では急成長する買取業界の実態を徹底取材しました。
■ 商店街に11店舗、道を挟んで向かい合わせに2店
大阪市内の商店街を記者が歩くと、「金・ブランド買取店」の看板が次々と目に入ってきます。
さらに歩けば「高価買取」の文字。数えてみると、この商店街だけで11の買取店が軒を連ねていました。
阪急十三駅の近くでは、道を挟んで真向かいに別の買取店が営業しているという光景も確認できます。
密集ぶりに、街の人たちは驚きを隠しません。
■ フリマアプリが変えた「不用品」の概念
なぜここまで買取店が増えているのか。その背景には、日本人の”不用品観”の大きな変化があります。
物流に詳しい坂口孝則さんは、こう指摘します。
【物流に詳しい坂口孝則さん】「ひとつにはフリマアプリの普及というのが、すごく大きいんですね。これまで不用品を処分する感覚だったのが、不用品を販売することによって、生活費を補填するような手段に変わっていった」
フリマアプリの普及が「不要なものを売ってお金にする」文化を根付かせ、それが買取店の需要増加につながったと分析します。
昔から家にあるものをお金に換える手段といえば「質屋」でした。神戸市内にある創業70年以上の老舗・荒木質店で働く荒木一生さんも、変化を感じています。
【荒木質店 荒木一生さん】「若い方が、僕らが思ってるより(質店に)抵抗感なくなってきている」
年配客が中心だった業界に、若い世代が流入し始めているのです。
■ 「目利き」なしでもオーナーになれる
買取業といえば、商品の真贋や価値を見極める”目利き”のプロフェッショナルが不可欠だと思われがちです。
ところが、去年8月に大阪市内に開業した買取チェーン店「買取大吉ビエラタウン鴫野店」の菅野実鈴オーナーは、前職が看護師。接客業の経験すらほとんどなかったといいます。
【買取大吉ビエラタウン鴫野店 菅野実鈴オーナー】「前職が看護師で、病院と美容皮膚科で働いてたんですけど、接客業というのを全くしたことがなかった」
それでも収入面は「(前職の)2倍以上になる月も。全然ちゃいますね」と話します。
■増えるフランチャイズの買取店 真贋まで見抜く”確立された査定システム”
未経験でも運営できる秘密は、東京にある本社オフィスにありました。
そこには、パソコンの画面を見つめる約100人のスタッフが並んでいます。全国の店舗から送られてきた品物の写真を、本社が一括で査定する仕組みです。
【査定員】「ポーチ、スカーフ、ルイヴィトンのバッグ」「見落としそうになったのがこの破れているバッグ」「ファスナーのレーンが破れていると、減額の対象になってくる」
査定員たちは画面越しに細部まで確認し、ブランド品の真贋判定も行います。
例えばプラダ(PRADA)のロゴについては「『R』の切込みが浅いものが基準外(偽物)になって、こんな感じで(本物は)深く切り込みが入っている」と説明します。
買い取った品物は本社が集約し、オークションにかけて利益を得ます。この仕組みが整っているため、店頭のオーナーはプロの技術がなくても経営に参入できるのです。
【物流に詳しい坂口孝則さん】「これまで飲食店をやっていたフランチャイズのオーナーが、買い取り(店の経営)も『目利き力がなくてもいいならやってみよう』となる」
■ トラブルも増加
急成長の一方で、消費者トラブルも増えています。
大阪府消費生活センターには、買取店や訪問買取をめぐるトラブルの相談が増加傾向にあります。主な内容は「思っていたより金額が安かった」「買い取りを希望していないものまで持っていかれた」というものです。
■10万円で買い取られたネックレス 実際は「37万円の価値だった」
実際に、以前、家族の遺品整理のため訪問買取を利用したという男性は・・。
【訪問買取を利用した男性】「(義理の両親の)着物とかも多分いいものなんだろうなと思うんですけど。『高価買い取り』ってCMで言ってるから、高いんだろうなと思ったら500円だったんで、『あれ?』とは思いました」
買取を希望していた着物などは数百円という値がつく中、義理の母親の金のネックレスを見せたとき査定員の目の色が変わったといいます。
【訪問買取を利用した男性】「急に秤(はかり)を出してきて、重さを量ったりですね。今までと違う感じのぐいぐいくる感じで」
査定員はネックレスを10万円で買い取りました。しかしその夜…。
【訪問買取を利用した男性】「テレビで今、金の価格が高騰しているっていう話題を見まして、『本当は30万超えてるじゃん』って話になり」
なんとかクーリングオフが成立して、ネックレスは男性のもとに。
その後、他の店で37万円で買い取ってもらえたということです。
■ 「信頼することと、高値で買ってくれるかは別問題」
【物流に詳しい坂口孝則さん】「宣伝広告で見る機会が増えると、どうしても信頼しちゃうと思うんです。ただ当然ですが、信頼することと高値で買ってくれるかは別問題。本当に自分が売ろうとしていた金額と、実際の査定金額をちゃんと比較して、冷静に販売するかどうかは判断しないといけない」
買取には一律の価格が存在せず、店によって査定額は大きく異なります。
生活の身近なところに増えた買取店。
だからこそ、複数店舗での査定比較やクーリングオフ制度の活用など、賢く利用するための知識がますます重要になっています。
(関西テレビ「newsランナー」2026年8月6日放送)
