日々の稽古を60年 剣道界の「神」の頂へ

みなさん、剣道の“最高位”は何か、知っていますか?

初段、二段など、よく耳にする『段位』の最高は「八段」だ。

さらに優れた「剣道人」として認められ、授けられるのが「称号」だ。
その中でも最高の称号が「範士」だ。

剣道を志す人たちから「神」にも例えられる「範士八段」に、愛媛県警の元警察官がたどり着いた。

まさに「神の称号」そのすごさとは

堂々とした構えから鋭い「面」が次々と繰り出される。

愛媛県警の元警察官で剣道八段の遠藤寛弘さん、69歳だ。

遠藤さんは2026年5月、八段の取得者の中でもごく限られた剣士にだけ与えられる、最高位の称号を受けた。

範士八段・遠藤寛弘さん:
「全日本剣道連盟から『範士』の称号をいただきました」

『範士』とは剣道家にとって、まさに特別な称号だ。

県警察学校長:
「まさに“神”の称号ではないかと思います」

県警察学校教官:
「“神”のような存在で手の届かない存在なんですけど」

全国の剣道有段者は200万人を超えるが、このうち「範士」の称号を持つ剣士はわずか214人。わずか0.01%の頂きだ。

県内では遠藤さんを含め、これまでに3人しかいない。

遠藤さん:
「『範士』は特別なものですから、今までやってきたことの評価ということなので、今後もとにかく、自分の修行というかやることを、これからもしっかりやっていく」

“神”のような手の届かない存在
“神”のような手の届かない存在
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人格・指導力・長年の実績などを総合的に評価

「範士」には段位のような実技試験はない。

人格や指導力、長年の実績などが総合的に評価され、初めて認められるのだ。

遠藤さんは2009年に52歳で、段位の最高とされる剣道八段に合格した。

その後、2017年の愛媛国体では、監督兼選手として完全優勝に貢献。

警察官を退職したあとも、週6日の稽古を欠かさず、後進の育成にも力を注いできた。

今も毎年ドイツに派遣され、現地で「正しい剣道」の指導にあたっている。

“異国”ドイツでも指導を続ける
“異国”ドイツでも指導を続ける

病気がちな少年が竹刀を握った日から…

遠藤さん:
「剣道を初めて中学・高校そして大学、警察とずっと続けてきた剣道の成果が、ここでやっと認めてもらえたような感じです」

実は病気がちだったという遠藤さん。心配した両親の勧めで、小学3年生から剣道を始めたという。

強豪・新田高校で身につけた、別名「火の構え」とも呼ばれる攻撃的な「上段」の構えが武器で、その後、中央大学時代には団体戦で全国制覇を果たした。

警察官になったあとも愛媛代表として、全日本選手権に4度出場し、ベスト8にも入るなど、輝かしい成績を残している。

全日本選手権に4度出場
全日本選手権に4度出場

「指導する者は、指導される者より稽古をしなさい」

遠藤さん:
「自分の形が見せられないのに、口だけで指導はっていうのは、私が一番ダメだと思うところなので、『指導しているものは指導されるものより、稽古をしなさい』っていうことが私の口癖」

言葉の通り、後輩の指導では常に自分も防具を着け、竹刀を交える。

遠藤さん:
「遠間から攻めて攻めて、大きく振りかぶって速く打つ。しっかり攻めて大きく振りかぶって速く下ろす。足を使って全身を使って、しっかり腰で踏み込んで打つということで」

指導中も、的確なアドバイスを欠かさない。

遠い間合いから相手を一撃で打ちぬく、上段からの鋭い「面」が遠藤さんの持ち味。鋭い一撃を支えているのが、毎日の稽古で繰り返す基本の面打ちだ。

遠藤さん:
「剣道で一番大事なのは基本です。仕事でも何でも同じで、土台がしっかりしていれば、その上に立つものもしっかりしてきます」

日々の稽古で作られた土台
日々の稽古で作られた土台

自らの背中で伝える

遠藤さんが大切にしてきた言葉が「正念相続」。「正しい心を持ち続ける」という意味だ。

長年の姿勢が評価され、『範士』となった遠藤さんだが、今も基本をおろそかにせず、毎日、稽古を積み重ねている。

自らの背中で伝える、それが遠藤さんが信じ、実践する「正しい剣道」だ。

「正念相続」それは「正しい心を持ち続ける」
「正念相続」それは「正しい心を持ち続ける」
テレビ愛媛
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