シニアに人気の衣料品店です。創業72年になる長野県松本市の「コタケ」は品ぞろえと親身な接客はもちろん、店に来るのが難しい客のために出張販売も行っていて、シニア世代から厚い支持を得ています。

■シニアにうれしい工夫の服

ゆったりとしたシルエットのブラウスに―。足をすっきりと見せることができるスラックス。

こちらは腰回りが柔らかいゴムになっていて、簡単にズボンの位置を調整できます。

店内にはシニア向けの商品が数多く並びます。


娘(市内から):
「そんなに変わらないかも」

母親:
「そう?」

娘:
「これでいいんじゃない?ほら」

母親:
「これでいい」


■創業72年、地域に愛される店

店員:
「黒(色も)いいことはいい、いろいろに使える。大きすぎる?冬、靴下厚くなったらそれ(のサイズ)の方がいい」

客:
「これでいいと思う」

松本市中央にある衣料品店「コタケ」。

健康用品や介護用品、学生服なども扱っていますが、店の主力はシニア向けの服です。

娘(市内から):
「コタケさんがいい。年に合った物もあって、素材もよくて」

母親:
「(服を)見るだけで、自分で着ているような感じでいい、楽しいですよね」

コタケ 社長・内藤英昭さん:
「他にできないサービス、声かけとかお客さまとの会話を本当に楽しめる。そういうお店でありたい」

店を営むのは、内藤英昭さん(64)と妻の恵理子さん(60)。

地域のシニア世代から厚い支持を受け、2026年で創業72年を迎えました。

■シニア向け専門店への転換

「コタケ」は、1954年に現在の「まつもと市民芸術館」付近で、恵理子さんの祖父母が創業しました。

当時は、子供服を含め、さまざまな衣類を扱っていて、1968年には、現在の店がある「旧開智学校」の跡地へ移転。

1979年には、松本駅前に支店もオープンさせ、地元客に親しまれてきました。

しかし、若者向けの衣料品店が入った大型商業施設のオープンなどで、徐々に買い物環境が変化。コタケも影響を受けました。

コタケ 開智橋店 店長・内藤恵理子さん:
「子供服とか若い方の洋服というのは、いろんなお店ができて、お得意さまの年齢もだんだん高齢化、そこに特化した商品を幅広く扱おうと」

シニア向けの衣料品店が少なかったこともあり、約40年前からシニアファッション中心の店として歩み始めました。

■86歳ベテラン店員の接客術

店の特徴は、豊富な品ぞろえと、スタッフが親身に対応する温かい接客です。

コタケ スタッフ・平林英子さん:
「それ綿だよ」

客:
「でも好きではないな」

コタケ スタッフ・平林英子さん:
「自分で好きじゃなきゃ駄目だよ。買って着ないようなのは駄目」

スタッフの平林英子さんは86歳。

高校を卒業してからコタケ一筋、約60年のベテランです。

常連の70代の女性客はブラウスを探しに訪れました。

コタケ スタッフ・平林英子さん:
「これは本当にふわっとしているの。柔らかいの生地が」

客:
「あの色は?」

コタケ スタッフ・平林英子さん:
「これ地味だって言ったじゃん。さっき見せたら『地味』って」

客:
「そんなことござません」

平林さんと相談し、最終的には紫色のブラウスに決めました。

市内から来た客:
「気さくに相手してくださるので、自由に選べるし、いいかな。心得ていてくださって『これはどう?』と言ってくれるからいい。そうやって(選んで)いただいたものが気に入って」

コタケ スタッフ・平林英子さん:
「押し付けて買ってもらうというのは(しない)、自分が好きな物じゃないと(客は)着ない。『あそこ行くと押し付けられるからやだ』という人いるでしょ?だから、自分で納得して買ってもらった方がいい」

■要望に応える「隙間」のサービス

コタケ 内藤恵理子さん:
「一人一人のお客さまの要望になるべくお応えするということを心がけておりますね。他の店にできない隙間を縫ったようなことをやらせていただく」

客の要望に応え、他の店にはできないことを―。

その思いから始めたサービスがあります。

6月19日の朝、ラックにかかった商品を車に乗せていました。

コタケ 社長・内藤英昭さん:
「スタッフも連れての販売になる。これから出発します」

向かったのは車で20分ほどの寿台ふれあいセンター。

到着すると、早速、商品を運び込みます。

部屋の中がまるで衣料品店のようになりました。

これは、コタケが約15年前から行っている出張販売です。

コタケ 社長・内藤英昭さん:
「(高齢者)施設の方を車に乗せて、お買い物にみえていただいたのが最初のきっかけ。施設の方が『お店から来ていただけるとありがたい』と」

高齢者施設からの要望で始めたところ大好評で、以来、松本地域の福祉施設やイベントなどで出張販売を行ってきました。

多い時には、月の半分、出張販売に出かけることもあるそうです。

コタケ 社長・内藤英昭さん:
「入居者の方のお買いものされている姿といいますか、笑顔。『こんなに笑うことがあるんだとびっくりした』と声をいただきまして、われわれは必要とされているんだなと」

■出張販売「お店にいるみたい」

この日は女性用のブラウス、男性物のTシャツや帽子など、約3000点を用意しました。

客:
「これ涼しそうだね。ふわっとしていて」

コタケ・内藤恵理子さん:
「素材はこういう感じがいい?」

客:
「素材は涼しいのがいい」

コタケ・内藤恵理子さん:
「涼しいのは『めちゃらく涼しいパンツ』」

続々と客が訪れ、「出張店舗」での買い物を楽しんでいました。

市内から(80代):
「松本(の中心)まで行くのは足が痛くて大変なものだから、ここに来るのを待っている。雑誌見て取り寄せたって思うようにいかないものだから、選ぶのが楽しい」

市内から(60代):
「市内(中心)まで行くのは、駐車場のこととかいろいろある。(介護中の)母は来たいけど来られない。本当にお店にいるみたいでよかったです」

■「ほっとする」温かい店作り

年を重ねて、店に来るのが難しくなっても、服選びを楽しんでほしい―。

客の要望に寄り添う姿勢がシニア世代の支持を集めています。

コタケ 社長・内藤英昭さん:
「お店にお買い物に来て、選んでいただけるようなお店をできる限り続けていきたい」

コタケ 開智橋店 店長・内藤恵理子さん:
「感謝の気持ちを忘れないで、ここがないと困るんだよと。『来るとほっとするね』と言ってくださるお客さまがもっと増えるように温かいお店づくりができたら」

長野放送
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