湿度が高く、カビやダニが増える梅雨の時期に重症化しやすい『気管支ぜんそく』。予防のためにできることや症状が出た場合はどのように対処すればいいのか。また、アレルギー性鼻炎の人も注意が必要だという。その理由について、呼吸器専門の医師に聞いた。
■『気管支ぜんそく』どのような病気?
風邪の延長と思う人もいるかもしれないが、放っておくと深刻な症状が出ることがあるという気管支ぜんそく。
気管支ぜんそくとはどのような病気なのか。
呼吸器を専門とする新潟大学の小屋俊之先生は「気管支ぜんそくは空気の通り道である気道に慢性の炎症が起こる病気。息が苦しくなったり、せきが出たり、『ゼーゼー』『ヒューヒュー』といったぜんめいをきたす疾患」と説明する。
■原因は遺伝的要素のほかにも…
ぜんそくになる原因には遺伝的な要素が関係している。
親から子へアレルギーが遺伝するように、どちらかの親がぜんそくの場合は約2倍。両親ともにぜんそくという場合は約6倍の確率で子どもの発症リスクが高まるとされている。
ただ、遺伝以外にも花粉やハウスダストなどのアレルゲンが気道に炎症を起こす場合や、タバコやストレスなどにより気道が刺激されて炎症が起こる場合など様々な要因によって引き起こされる。
世代を問わず、誰にでも症状が出る恐れがあるのだ。
ぜんそく患者は小児に多いとされていたが、現在では大人になってからぜんそくになる人も多く、高齢者でも新たに発症する人もいる。
小屋さんは「1000万人程度いるのではないかと推察されている」と話す。
■死に至る場合も 重症化リスクに注意
ぜんそくを患うと、繰り返すせきなどの症状に悩まされる一方で、重症化のリスクにも注意が必要だ。
症状が急激に悪化し、最悪の場合、死に至ることもあるという。
小屋さんは、「ぜんそくで一番亡くなる病態は窒息。気管支が狭くなり、たんが詰まって息ができなくなるというのが発作の重症化。そうなる前に病院に来ていただくことが大事」と呼びかける。
■ぜんそく治療「自己判断で中断すると再発・悪化の恐れ」
もし、ぜんそくの症状が出た場合は、炎症を抑える治療をすることになる。中でもよく使われるのが『吸入ステロイド薬』だ。
ぜんそくによって狭くなった気管支を広げる『気管支拡張薬』を組み合わせて使うことで、炎症を抑え症状を予防する。
今ではこの2つが一緒になった合剤を使うのが一般的だと話す小屋さん。
ただ、薬を使って症状が出なくなったとしても、ぜんそくが完治したとは言えない。
小屋さんは、「自己判断で治療を中断すると再発や悪化の恐れがあるため、症状が安定しても定期的に受診することが重要だ」と警鐘を鳴らす。
■ダニ・ハウスダスト減らしぜんそく予防
にならないためには、ダニやハウスダストを減らすことが有効だ。特に寝具にいるダニやハウスダストを減らす方策が求められる。
ほかにも、禁煙や適度な運動もぜんそくの予防につながる。
■アレルギー性鼻炎から発症する恐れも
一方で、注意したいのが、アレルギー性鼻炎の人だ。
ぜんそくと同じようにアレルゲンを吸い込むことで発症するアレルギー性鼻炎の人は、ぜんそくも発症する恐れがある。
アレルギー性鼻炎の段階で治療を行うことで、ぜんそくの発症を予防するという報告もある。
■「症状続く場合は早めに受診を」
それでも、せきが長く続いたり、季節ごとに同じようなせきを繰り返す場合は、早めに医療機関に相談することが求められる。
小屋さんは「ぜんそくは適切な診断、治療によって多くの方が日常生活を支障なく送れる状況になっている。決して甘く見ず、症状が続く場合には早めに医療機関を受診し、正しい診断と治療を受けることが大切」と呼びかけている。
