火葬場の大部分を民間企業が担っている、東京23区の火葬料金が高騰している問題が、新たな局面を迎えています。
東京都の小池百合子知事は、6月9日に開会された東京都議会定例会の所信表明で、「民間火葬場は利益追求の手段として資本取引の対象となり得る」との認識を示し、「事業の公共性を高め、将来にわたり永続的に提供される体制整備を目指す」と述べました。
この中で、「事業の公共性を高め」という発言について、都議会の一部議員からは、東京都が民間から火葬場を買収する可能性に言及したのではないかとの見方が示されています。
小池知事は当初、「特別区では区が火葬場の指導監督を行う」との立場を示していましたが、2025年9月の都議会で方針を転換し、区市町村と連携したうえで「料金を含む火葬場の経営管理への指導が適切に行えるよう、法の見直しを国に求める」と表明しました。
東京都が静観から対応強化へと動いた背景には、23区長会の要望に加え、都議会各会派からの指摘があったとみられています。
この問題を早くから取り上げた立憲民主党の関口健太郎都議は、民間火葬場の料金が相次いで値上げされていること、さらに23区内でほぼ独占的な状況にあることを指摘しました。
関口都議らはプロジェクトチームを立ち上げ、専門家や自治体、厚労省、民間事業者へのヒアリングを行い、現行法では料金の透明性や指導監督が難しいとの認識に至ったとしています。
こうした中、都議会与党からも対応を求める声が上がり、都の方針転換に影響したとみられています。
東京都では、死者数の増加にともなう「多死社会」を背景に、都内26施設の火葬場で2035年に需給がひっ迫する見通しです。
都は、23区とともに専門家検討会を設置し、6月初めての会合を開きました。
検討会では「火葬をめぐりマネーゲームにしてはいけない」、「公営火葬場の整備が必要」、「火葬能力の増強が必要」などの意見が出されました。
また、民間が売却の意思を示した場合には、東京都が買収することも解決策の1つではないかとの見方も出ています。
