北海道札幌市で今、キッチンや洗濯機などを備えたファミリー向けのホテルが増えています。背景には旅行者の長期滞在の傾向があるようです。最新のホテル事情を探りました。

 6月26日に新しいホテルが誕生します。札幌市中央区の「ランド―ホテル札幌ヘリテージ」で地上14階建て、全125室です。「ヘリテージ」とは英語で「遺産」の意味ですが、いったい何の遺産なんでしょうか。

 それは、ダンスクラブ「キングムー」です。1991年に開業しバブル期のススキノの象徴として一世を風靡しました。老朽化のため2023年に閉店し、ホテルに生まれ変わったのです。

 「実際に『キングムー』のバーカウンターで使われていたオブジェが使われています。VIPルームで実際に使われていた壁面も使っています」(ランド―ホテル札幌ヘリテージ 藤井光洲支配人)

 「キングムー」で使用されていた装飾品が、いたるところで再利用されています。

 「解体する時には建物保存の署名運動が起こり、その気持ちを次世代に伝えたかった。『キングムー』の記憶は、残すべきものだと思った」(エスコン 小桜和彦さん)

 遺産を継承しただけではありません。ホテルのもう一つの特徴が。

 「広いリビングで、何ともぜいたくな空間です」(八木隆太郎フィールドキャスター)

 最上階のスイートルームにはセミダブルベッドが4台あり、最大8人の宿泊が可能です。この他にも全室にキッチンや食器、洗濯機が備えられていて、長期滞在する家族やグループをターゲットとしています。

 札幌市内では、こうしたホテルの開業が続きます。6月11日に開業した「Minn 札幌大通 西14」は、マンション建設の予定を長期滞在者向けのホテルに変更しました。

 6月29日に開業する「Rakuten STAY 札幌中島公園」も、キッチンや洗濯機が全室に完備されています。

 この背景には。

 「インバウンドの平均滞在日数をみると10泊近い。宿泊先を拠点として、さまざまな場所に出かけていくスタイルの旅行者にとっては、使いやすいホテルの形態。住まうようなホテルと言える」(ホテル評論家 瀧澤信秋さん)

 2025年度、夏の観光シーズンの4~9月までに札幌市を訪れた観光客の数は約961万人。前年同期に比べ29万人近く増えています。特にインバウンドの宿泊者は14万人近く増加しています。長期滞在の需要が増えているんです。ホテル側にとってもメリットがあるといいます。

 「宿泊客が長期滞在すると、人件費が少なくてすむ。チェックイン・アウトは1回でいい。掃除も何日かに1回ですむので、その手間も省ける」(瀧澤さん)

 特色を前面に打ち出したホテルの競争が激化しそうです。

北海道文化放送
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