茨城県の施設で、入所者2人を殺害した罪に問われている女の裁判は18日に結審しました。
判決に向けてのポイントについて、フジテレビ・上法玄解説委員に聞いていきます。
介護老人保健施設の元職員・赤間恵美被告(40)は2020年、入所者の男性2人の体内に点滴を介して空気を注入し、殺害した罪に問われています。
18日の裁判で、検察側は「無差別的といえる殺人」「計画性が認められ、犯行態様は極めて悪質」と指摘し、無期懲役を求刑しました。
――この刑の重さはどう見ればいいか?
上法玄解説委員:
2人のお年寄りに対する殺人の罪に問われていますから、死刑が求刑される可能性もあるとして注目されていました。検察側は空気を注入したシリンジ(注射筒)を本人が持っていたことが事件のポイントだとしています。殺害に及んだシリンジを本人が持っていた。つまり、シリンジをあらかじめ用意してタイミングを見計らって犯行に及んでおり、計画性があったと認められるとしています。そのうえで、本件は計画的な無差別殺人の疑いがあり、極めて悪質な犯行だとして無期懲役という極刑に次ぐ重い刑を求刑しました。
今回の裁判は、判決の言い渡しまで実に60回と異例の長期裁判で、それだけ難しい裁判だということが分かりますが、争点は「事件性」「犯行性」の2つです。
まず1つ目「事件性」。
被害者の死因が他殺かどうか。これが事件性があるかどうかがまず争点の1つ目です。
そのうえで「犯人性」。
他殺だった場合犯人が赤間被告かどうか。
こちらの2つの争点が、今後裁判所がどう判断するのかが注目されています。
――赤間被告は無罪を主張しますが、事件性についてはどの辺りがポイントなのか?
上法玄解説委員:
2件のうち、最初の事案では遺体の司法解剖が行われていません。2件とも確たる死因が特定されていないというのがこの事件の特徴です。検察側は、外から被害者の血管に空気が注入され殺害されたと推定していますが、弁護側は心臓の病気など他の原因で亡くなった疑いが残ると主張しているんです。明確になっていない死因が争点になっているため遺体がない今、検察・弁護側双方が自らの主張の蓋然(がいぜん)性をどこまで高めることができたかが注目されています。
――仮に裁判所が事件性があると判断した場合、次に争点となってくる犯人性ついてはどこがポイントになるか?。
上法玄解説委員:
被告が被害者を殺害したことについて立証責任が検察に求められている裁判です。鍵となるのが先ほども挙げましたシリンジ(注射筒)です。それをいつ、どのように手に入れて事件に使われたシリンジだといえるかどうか、検察側には状況証拠の緻密な積み上げが問われているといえます。
そしてもう1つポイントとなってくるのが、こちらの裁判では2月に被告人質問が予定されていましたが、この時、赤間被告が「全ての質問に対し黙秘権を行使します」として、被告人質問は実施されませんでした。
つまりは、被告の口から詳細が語られることはありませんでした。
――黙秘という対応が判決に影響することはあり得るのか?
上法玄解説委員:
あり得ると思います。真実の究明には裁判官の前で何を語るかが一番重要です。法廷で黙秘をしますと、当然、何かを隠しているとなって、裁判官の心証も良くなりません。裁判官と被告人との間の信頼関係ができないからですね。完全黙秘であれば、判決にも当然影響が出てくるといえます。真実の究明のために、被告には包み隠すことなく起きたことの全てを話すことが求められています。
この判決は7月7日に言い渡される予定です。
