海外に渡ってしまった岡山ゆかりの美術品が、日本が誇る技術を使って「新たな形」で里帰りです。6月10日、その美術品が岡山県立美術館に贈られました。
中国絵画の技法を使い、力強くも繊細なタッチで描かれた風景。大きさは縦1.8メートル、横3.7メートル。岡山城下で生まれ、江戸時代後期に活躍した画家、浦上春琴の「春秋山水図屏風」の複製です。
(前川裕喜記者)
「複製と言ってもただのコピーではない。高度な写真の技術で絵を再現し、縁は伝統工芸の技を使っている。原本とうり二つ。浦上春琴の作品に込めた心を感じられる」
複製の制作を手がけた精密機器大手のキヤノンと京都文化協会が10日、浦上春琴の作品を所蔵する岡山県立美術館に贈りました。
日本美術として高く評価され、現在は、遠く離れたアメリカのミネアポリス美術館が所蔵している「春秋山水図屏風」。複製は、キヤノンが持つ高度なカメラや画像処理技術を使い、原本を336分割で撮影し布にプリント。京都の伝統工芸士がびょうぶとして仕上げました。
(キヤノン サステナビリティ推進本部 小森綾子主席)
「日本の画家の描いた作品はたくさんあるが、海外に渡っているものもありたくさんの人に見てもらうのが難しい作品もある。それを複製して見てもらう機会を増やし、日本の人の絵画への興味や歴史への興味へとつなげたい」
2007年から続けるキヤノンの社会貢献活動で、複製は「春秋山水図屏風」で67作品目です。岡山にとっては、海を越えて地元ゆかりの美術品を気軽に楽しむことができるようになりました。
(岡山県立美術館 守安收館長)
「これ複製なの?というくらいの出来栄え。作家は緻密に計算した上で作っている。そういうところを楽しんでほしい」
この複製は、7月5日まで岡山県立美術館の地下1階で展示され、無料で鑑賞することができます。