東海地方で長年親しまれてきた「近藤産興」のCM。その独特なフレーズの裏には、「何でも貸します」を掲げる企業の戦略がありました。創業から80年、時代の変化に対応しながら進化を続ける老舗の今に迫ります。
■“何でも貸します”の近藤産興の倉庫に潜入
「何でも貸します」のCMでおなじみの近藤産興を訪ねました。あの印象的なCMは、なぜ生まれたのでしょうか。

近藤達夫常務:
「とにかく耳に残るものを作って、“近藤産興”という会社を知ってもらいたかった」
1987年にスタートしたこのCMは、約40年にわたり継続。「100年続ける」ことを目標にしているといいます。実際に“何でも貸す”のか、倉庫を案内してもらいました。
発電機や照明機材、工事現場の大型機器に加え、イベント用のガラポンやモグラたたき、さらには巨大なドラまで、幅広いアイテムが並びます。まさに“何でも貸します”を体現する品ぞろえです。

倉庫の奥には、御園座公演「暴れん坊将軍」で、松平健さんが乗った自社製作の白馬の模型も。レンタル料金は運搬費込みで約20万円といいます。
近藤常務:
「ないものは、売っているものは買ってくる。売っていなければ作る。それが基本です」
■スペースシャトルを作ってまでレンタル
近藤産興は1947年、戦後の名古屋で創業。もともとは塗装業でしたが、伊勢湾台風の復旧で機械修理を担い、その後、建設用資材のレンタルへと事業を拡大しました。
高度経済成長とともに成長し、バブル期には驚きの案件もありました。

近藤常務:
「残念ながらタイヤしか残っていませんが、これはスペースシャトルのタイヤ。オーストラリアで製作しました」
1988年の「ぎふ中部未来博」で実物大模型を展示。NASAの設計図をもとに製作され、費用は3億円以上にのぼったといいます。

近藤常務:
「展示後に売却する計画でしたが、輸送の問題でかなわず、結果は大赤字でした」
■時代に合わせ進化する近藤産興
コロナ禍ではイベント事業の売り上げが9割減少。しかし、サーモグラフィーやアクリル板などをいち早く導入し、危機を乗り越えました。

今では高齢化社会が進む中、介護用品のレンタルにも注力。車いすや介護ベッド、徘徊防止センサーなど、生活を支える機器を幅広く提供しています。
さらに、産業廃棄物の焼却処理事業も展開し、処理後の灰は舗装材として再利用されています。

近藤常務:
「東海地方に近藤産興がなかったら困る、と言われる会社でありたい。それが“何でも引き受ける”という姿勢の結果です」
長く記憶に残るCMを生み出した企業は、時代のニーズを的確に捉えながら、今も事業を広げています。
