5月5日は「こどもの日」です。
子供たちの学校生活を支えるPTAに変化が起きているといいます。
保護者と教職員などが協力するPTAですが、共働き家庭の増加などで参加できる保護者がなかなか集まらない現状があります。
PTA会長たちの試行錯誤を取材しました。
午前7時半、子供たちの登校を見守るため横断歩道で旗を持って立っていたのは、江戸川区立一之江小学校のPTA会長・浦部哲さん(39)です。
江戸川区立一之江小学校PTA・浦部哲会長:
子どもたちの安全のために活動しているというのをまずは知っていただきたい。
日々、保護者や子供たちと向き合う中で今、ある悩みを抱えているといいます。
江戸川区立一之江小学校PTA・浦部哲会長:
今は共働きの家庭が増えたので、(子どもより)親が先に家を出る家庭も多い。なかなか活動に参加できない方(保護者)も多い。
近年ライフスタイルが多様化してきたことなどから、通学路での旗持ちなど、PTA活動に参加することが困難な家庭が増えたといいます。
PTAにどんな印象を持っているのか、街の人に話を聞くと、「行事とかイベントの運営じゃないが、そういうの好きなのでやってみたい」「僕は進んで参加したいなと思います。子供がかわいいので」など、学校生活を支える活動に参加したいという人もいる一方で、「私が子供のころは専業主婦が当たり前というか、今は仕事している人ばかりで、その旗(活動)の時間の仕事はどうするのかなと」「だいぶ昔と変わっているから、(PTAは)必要ないんじゃないかなと思う」といった声が聞かれました。
かつてPTAの会長を務めていたという女性は、「仕事とPTAの仕事、両方やらないといけなかった。会合とかがあると、仕事を早引きして(学校に)行った」と話しました。
全国で広がっているというPTA参加者の減少。
時代に合ったやり方を求め、各地で試行錯誤が行われているのです。
取材すると見えてきたのは、取り組みやすい環境を目指す、保護者達のPTA改革です。
この日、旗持ち活動のため黄色い横断旗を握り、子供たちを見守っていたPTA会長の浦部さん。
学校に通う子供たちのために、保護者と学校が協力して行うPTA活動の一環ですが、浦部さんは「今は共働きの家庭が増えたので、なかなか活動も難しい。もっと別の形に変えないといけない」と話します。
PTAに4年前に入会した浦部さん。
当時の旗持ち活動は強制参加となっていて、日程はPTA役員により決められていたといいます。
そのため、中には当番の日に現れない保護者や、苦情を訴える人もいたといいます。
こうした状況の中、2025年に浦部さんが会長に就任。
保護者への負担軽減からPTAの解散まで考えていたという浦部さんですが、会長になってみると、旗持ちなどの活動が子供の安全を守るということを実感し、PTAの存続を決意。
大胆な改革へと乗り出したのです。
江戸川区立一之江小学校PTA・浦部哲会長:
私自身、実はPTAは解散するつもりで入ったんです。いざ入ってみると、PTAってすごく良いこともしている。やり方を変えればすごく有益な活動なんじゃないかと思って。みんな“できるときにできることをやろう”と。自由な形に変えました。
これまで強制参加だった旗持ち活動を任意に変更。
さらに、システムエンジニアとして働く経験を生かし、自作のウェブアプリを開発。
アプリ上では、旗当番がいない箇所は「空」と表示され、埋まっている場合には「○」と表示されます。
参加を希望する保護者は、都合に合わせて場所と日付を登録できるというものです。
運用を始めてから1年、保護者からも好評だというこちらのアプリ。
ところが、「アカウントは150人くらい、実際にやっていただいているのは10人くらい」だといい、「やはり、そういう活動を『いらないんじゃないか』と考えている方も多いんじゃないかなと思います」と話します。
今後、旗持ちなどのPTA活動は、保護者だけでなく地域に住む人たちと連携して担い手を確保していきたいといいます。
江戸川区立一之江小学校PTA・浦部哲会長:
地域の方と一緒にやりたいなと思っていて、子どもたちを地域で見守りたい。
一方、埼玉・熊谷市の大幡小学校のPTAでは、加入を任意に変更したことで、これまで400人ほどいた会員が激減。
2026年度は、本会員がわずか9人となりました。
PTA会長の影山琢也さん(54)は、ある伝統的な活動の廃止に踏み切りました。
熊谷市立大幡小学校PTA・影山琢也会長:
去年、ベルマーク活動をずっと長くやっていたが廃止にした。
お菓子や文房具などの商品についた「ベルマーク」です。
切り取ったマークをベルマーク財団に送ると1点が1円に換算され、一輪車やドッジボールなど、学校で必要な備品の購入や特別支援学校などの支援に使うことができます。
この日、影山さんは2025年までに換算できなかったベルマークの最後の集計をしていました。
熊谷市立大幡小学校PTA・影山琢也会長:
(ベルマークを)集めていただいたので、最後の作業として。今残っているものはみんなで何かに変えようという形でやっている。
まずは各家庭から集めたものを、マークがついている商品の企業ごとに仕分け。
今度は、点数ごとにさらに細かく分けていきます。
最後に集まったベルマークの点数を計算し、専用の封筒に入れて作業完了です。
これまで、ベルマーク担当の保護者は都合が合う日に学校に集まり、7時間ほどこれらの作業をこなしていたといいますが、1年間で購入できたのはドッジボールや黒板消しクリーナーなど、約2万円分だといいます。
そして、中には頻繁に家に持ち帰り作業していた保護者もいたといいます。
この現状を見かねた影山さんは2025年、ベルマークの廃止を決断しましたが、「何か子供のためにと思って皆さんやっていただいているので、廃止するっていうことが全て正しいことでもないのかなとも思い、ジレンマと言いますか、葛藤みたいなものはあります、今でも」と話します。
保護者の負担軽減を選ぶのか、子供たちの学校生活を充実させるのか。
今もなお、心の中で葛藤は続いているといいます。
熊谷市立大幡小学校PTA・影山会長:
お父さんお母さん両方とも働いていますので、働いている中での活動がどこまでできるか。教育環境とのバランスを考えて、その(バランスの)中で、PTA活動が必要なものなのかを考えたい。