「戦争の放棄・戦力の不保持」を規定した憲法9条。
高市総理が憲法改正に意欲を示す中、憲法記念日の5月3日には「9条改正反対」を訴えるデモが全国で開かれました。
一方で、憲法改正を訴える集会も開かれる中で、「newsランナー」は、石破前総理に単独インタビュー。
語られたのは、自衛隊が「軍隊じゃないはまやかし。削除しないと安全保障の議論は絶対まともにならない」ということ。
憲法9条2項の削除を主張しつつ、「9条1項で国際紛争、領土をめぐる武力を用いた争いはやりませんと明示している。だから1項を残している限り、心配している事態にはならない」と述べました。
■5月3日は憲法記念日 憲法改正に強い意欲を示す高市総理
【昭和天皇の勅語】「朕は国民とともに、全力を挙げ」「自由と平和とを愛する、文化国家を建設するように努めたい」
1946年に公布された日本国憲法は、今から79年前の1947年5月3日に施行されました。
国民主権、基本的人権の尊重、戦争の放棄が「三大原則」。
改正するには、衆参両院でそれぞれ3分の2以上の賛成、さらに国民投票で過半数の賛成を得る必要があり、これまで79年間、1度も改正されていません。
しかし3日、改憲派の集会にビデオメッセージを寄せた高市総理は、国際情勢や安全保障環境の変化などを挙げ、憲法改正に強い意欲を示しました。
【高市早苗総理】「時代の要請に合わせて、本来、定期的な更新が図られるべきです」
■憲法9条の改正 “自衛隊の在り方”をどうするのか
中でも注目されるのが、「憲法9条」の改正です。
憲法9条は、1項に「戦争の放棄」、2項に「陸海空軍その他の戦力を持たない」ことを定めています。
トランプ大統領による、ホルムズ海峡への派遣要求を高市総理が、“9条の制約”を理由に見送ったことから、その存在感が増しています。
一方で、長年議論になってきたのが“自衛隊の在り方”です。
9条2項で「戦力は持たない」とうたっていることから、自衛隊は、「戦力」ではなく、「必要最小限度の実力組織」とされています。
これに対し自民党は、現在の条文は維持した上で、“自衛隊を明記”すべきだと主張。
さらに連立与党の日本維新の会は、「2項の削除」を主張していますが、一部の野党からは反発の声も出ています。
【共産党 山添拓参院議員】「9条を変えようなどというのは、もってのほかではありませんか」
【高市早苗総理】「憲法改正について、検討したり主張することは制約されておりません」
■大阪で大規模な集会が開催
こうした中で迎えた5月3日の憲法記念日。「関西各地でもさまざまな集会が開かれました。
大阪市内で保守系団体「日本会議」などが開いたフォーラムでは、自民党や維新の会の国会議員らが9条の改正を主張。
【自民党 高麗啓一郎衆院議員】「憲法9条を改正して、毅然(きぜん)とした外交は行える国にしていきたい」
一方、大阪の扇町公園では、護憲派が大規模な集会を開催。
【記者リポート】「大阪市北区では、公園を埋め尽くすほどの人が集まっています」
■参加者増える「戦争反対」デモ ペンライトを片手に声を上げ
様々な意見が渦巻く中、ことしならではの動きも。
【記者リポート】「JR大阪駅前に来ていますけれども、雨の中、9条改正反対を訴える多くの方で長い列ができています」
高市政権が誕生して以降、各地で行われるようになった「戦争反対」などを訴えるデモ。ペンライトを片手に、声を上げるスタイルが特徴です。
主催者によると、ここ最近、「デモの参加者は急激に増えている」といいます。
【デモ主催者の一人】「チラシを作るのも何千円とか、フラッグ作るのも何千円とかいうのも、自分たちでお金を出して」
中でも、女性や友人同士で参加する姿が目立ち、SNSをきっかけに、初めて来たという人も少なくありません。
【デモ参加者】「今までデモに行ったことは全くなかった。人間だけでなく小さい家族の命も関わってくるので」
【デモ参加者(親子)】「娘が大人になれないと思う。戦争が始まったら女の子だからとか、おばさんだからとかで、戦争に駆り出されない保証は何もないと思う」
【デモ参加者】「日本は(戦争に)参加も加担もしないでほしいと思っていて。今、反対できることを声あげていかないといけない」
■「2項は削除しないと、安全保障の議論はまともにならない」
戦争反対を訴える声が強まる中、なぜ自民党は9条の改正を目指しているのか。
取材班が話を聞いたのは石破茂・前総理。過去には防衛大臣も歴任しました。
なぜ9条の改正が必要なのか問うと…
【石破茂前総理】「世界有数の防衛費を使って、最新鋭の戦闘機、戦車をはじめとする車両、護衛艦群。『これは軍隊じゃありません』と言っているわけですよね。それ一体なんなのって普通思いませんか。
必要最小限度=戦力じゃない=軍隊じゃないって、それはまやかしです。(戦力不保持の)2項は削除しないと、安全保障の議論は絶対まともにならない」
■2項削除で戦争する国に「ならないと私は信じています」
「戦力を持たない」ことを定めた2項の削除という「踏み込んだ改正が必要」と強調する石破前総理。
本当に削除しても大丈夫なのでしょうか。
石破前総理は、【1】自衛隊を明記した上で、【2】司法・立法・行政がコントロールすること、【3】国際法の順守を条文に付け加えれば、「問題ない」と主張します。
【記者】「再び日本が戦争をする国になると訴える人もいるが?」
【石破茂前総理】「9条1項で国際紛争、領土をめぐる武力を用いた争いはやりませんと明示している。だから1項をきちんと残している限り、心配している事態にはならない」
■9条めぐる分断「今の状況はずっと続くんじゃないか」
9条をめぐって“改憲派”と“護憲派”の主張がぶつかり合う中、このまま分断が進むのでしょうか。
【石破茂前総理】「護憲の立場、改憲の立場が、同じ主張の人ばかりを集めて大会している。どちらの立場も『そうだそうだ』と盛り上がって、2つが交わって議論することがない。私はお誘いがあった場合は、護憲の集会にも出るようにしている」
高市政権は、9条の改正をめぐって幅広い国民の理解を得られるのか。石破前総理は、こう注文をつけました。
【石破茂前総理】「今の政治状況を見ていると、『いったい9条をどう変えるのか』を国民に向けて問うているのかが分からない。総理大臣もそこを明確に述べていない。そうすると今の状況はずっと続くんじゃないか。
『(9条に自衛隊を)書くだけだから何も変わらないけど、憲法違反って言われないようにするんだよ』と。それは、私は決して賛成しないな」
平和のために直視しないといけない憲法9条。双方の主張に耳を傾ける時間が必要かもしれません。
(関西テレビ「newsランナー」2026年5月4日放送)