広島県三原市大和町・蔵宗を訪ね、地域の源流や水芭蕉、原木椎茸、そして家庭の名もなき料理を通して、里山の暮らしを体感した。地元で守られる源流と、受け継がれるレシピノート――素朴な素材に向き合う時間が、暮らしの豊かさを伝えてくれる。
源流を育む水
「名前が源流農園」「芦田川の源流が、あの山の向こうにあるっていう」と紹介され、蔵宗の一帯では源流を守る会があり、住民が管理している。湧き出しは勢いがあるわけではなく「じんわり出てる」規模だと話す。その小さな湧きがあの芦田川になると実感する場面もあった。「あんま映えないんで撮ってもらってもそんなにいいもんじゃないかもしれんけど…」という言葉に、写真的な見栄えと別の価値があることが垣間見える。
季節を告げる水芭蕉
源流に近い場所では水芭蕉が群生し、盛りの時期には遠方から写真愛好家が訪れるという。「白い可愛いお花が咲きますね」「日当たりがいいのかもしれないですね」と、水芭蕉の開花を楽しむ声があがる。葉と花の違いを確かめるなど、植物に寄り添う観察が続いた。
山の恵み、原木椎茸
子どものころ遊んだ場所で見つけた原木椎茸は大ぶりで香りが強い。「放置です、置いとったらできるけん」と手入れの実際を語り、採ってその場で香りを確かめる。椎茸の力強い香りに驚きが寄せられ、「香水嗅いでるぐらいの。すごい!」という表現も出るほどだった。
台所で学ぶ「名もなき料理」
受け継がれたレシピノートには「ここから先は自分流の料理で、人生を豊かにしてください」という母からの言葉があり、広島へ来たタイミングでノートを渡され、台所では「お肉を白菜で巻くやつに、しいたけが入っとるもの」を教わる。調理は堅苦しくなく「適当です!なんのコツもない!もう巻けりゃええっていう…」と笑いながら進み、野菜の味を生かす家庭の味が出来上がる。完成した「ロール白菜 with しいたけ」を実食すると「ほっとする味です!歯ごたえもすごいですね!白菜甘い!」との感想があった。
里山で暮らすこと
移住や戻ってきた暮らしについては、この土地に「財産」があると話す。星の美しさやブドウのおいしさなど、土地固有の価値を見つける人がいることが暮らしの理由になっているという。「限界さっていうのは感じてないというか…」という言葉に、土地を信じて暮らす姿勢が表れている。方言については「うつったんかもしれん!」と笑いながら触れる場面もあった。
蔵宗の里山では、小さな湧きが大きな川へとつながり、水芭蕉や原木椎茸など季節の恵みが暮らしを彩る。受け継がれたレシピノートと、名もなき家庭料理が教えてくれるのは、素材を生かす素朴な手仕事と、土地を信じて暮らす姿勢だ。都会とは違う時間の流れや手触りが、日常の豊かさを改めて気づかせてくれる。
テレビ新広島
