海産物の直売所についてです。長野県佐久穂町の会社が、「山国でも海を感じてほしい」と千葉県の市場で仕入れた海産物の販売を始め、人気となっています。日本一海から遠い地域に新鮮な海の幸を届ける担当者の思いを取材しました。

■日本一海から遠い!?海産物直売所

佐久穂町に2026年1月オープンした、とある直売所。

4月9日の店内も多くの買い物客でにぎわっていました。

神津島産のキンメダイ。愛媛県産のマダイ。多くの海の幸が並びます。

八千穂漁業 直売所・飯島有哉店長:
「うろこもお腹(内臓)も取ってありますので、そのまま煮つけ、塩焼きに使ってください」

長野県小海町から来た客:
「よくこんな新鮮なのが入りましたね。こんなに新鮮なのがここまで来るんだっていうのが不思議」

直売所がある佐久穂町は、最も近い海岸線から直線で100キロ以上離れています。

隣接する佐久市の山中には「日本一海から遠い地点」があり、町内には「日本一海から遠い駅」も。

■趣味の「海釣り」がきっかけ

海から遠い地域に直売所をオープンしたのは、「八千穂漁業」です。

町内で約40年にわたり信州サーモンやイワナなどの川魚の養殖や加工を行っています。

川魚を扱う会社が、なぜ海の幸も扱う直売所を始めたのでしょうか。

きっかけとなったのは、店長を務める飯島有哉さん(36)の趣味の海釣りです。

八千穂漁業 直売所・飯島有哉店長:
「海で釣れたタイだとかブリだとか、川魚でお世話になっている業者さんに『良かったら使ってください』っていうようなところから始めて、『新鮮な魚が、こんな山国で出せるなんてうれしい』と言ってもらったのが深く突き刺さってまして。この魚を山国に持ち帰ったら、海を近くに感じていただけるんじゃないかと」

■深夜3時 自ら千葉の市場へ

販売している海産物は、この日(9日)の朝、飯島さんが市場から仕入れてきたものです。

まだ真っ暗な、午前3時の千葉市地方卸売市場。

日付が変わった頃に佐久穂町を出発し、到着するとすぐに買い付けです。

「これはいいじゃん、すごくきれいだ」

10年ほど川魚の養殖に携わった経験と、海釣りで得た知識などを生かし、新鮮な魚介類を選んでいきます。

八千穂漁業 直売所・飯島有哉店長:
「挑戦をする上で、やっぱり魚を持ってきて、おいしくなければならないっていうところをすごく意識してて」
「目利きっていうのは、一切妥協をしたくないと、自らがやるようにしている」

■1トン買い付け自らハンドル握る

この日は、合わせて1トンの魚介類を買いつけました。すぐに佐久穂へ向けて出発です。

市場での仕入れは週に1、2回。

できるだけ安く、新鮮なものを届けるため、毎回、自ら運転しています。

八千穂漁業 直売所・飯島有哉店長:
「市場に行って魚を選んで、絶対にうまいって思ったものを、そこから数時間で帰ってきて直接お客さまに見ていただくっていうところに、やっぱり楽しさしか感じない」

■競り場から2~3時間で店頭へ

午前9時前に直売所に到着したトラック。

八千穂漁業 直売所・飯島有哉店長:
「そこそこいいもの買えたと思いますよ。これで、降ろしていきます」

荷台いっぱいの発泡スチロールを直売所へと運び込みます。

八千穂漁業 直売所・飯島有哉店長:
「魚の名前で言えばブリヒラって呼ぶ人が、一般的ですね。ブリとヒラマサのハーフ。背中もバキバキに張ってて、これはうまいですよ」

「キンメダイ」に、「ヒラマサ」。生きたままのヒラメも。

八千穂漁業 直売所・飯島有哉店長:
「天然の活ヒラメ。ヒラメを生かして持ってくるんですよ。こういったものをお客さまに食べてもらいたいんですよ」

仕入れてきた魚介類は、調理しやすい状態にして、店頭に並べます。

八千穂漁業 直売所・飯島有哉店長:
「こういうのを、1回競り場で見て持ってくるっていうのが、僕らの強みですよね。競り場にあったものを、ものの2、3時間で持ってきて、ものの2、3時間でお客さんに売り始めるんで」

■「生きのいい魚がありがたい」

午前10時半開店。店内はすぐに客でいっぱいに。

八千穂漁業 直売所・飯島有哉店長:
「キンメダイはうろこ、お腹(内臓)取ってあるので、煮つけや塩焼きを意識しています」

佐久穂町から来た客:
「海、やっぱり遠いですから、生きのいい魚が届くのはありがたいですね。僕は煮つけで食べようと思っています」

■新鮮な魚介類を「浜焼き」で

近所から訪れたという井出さん夫妻。

井出さん(妻):
「主人のお友達が『ここすごく新鮮でおいしいよ』って言ってて。すごいです、種類も豊富で驚きました」

井出さん(夫):
「じゃあそれ1つ」

親戚が来るということで、たくさんの魚介類を購入していました。

井出さん(夫):
「キンメとホタルイカのボイル、ハマグリに、イカ、ホタテ、カキです。一緒に焼いて皆で食べようかと思っています」

夕飯では、直売所で購入した海の幸を「浜焼き」で味わったそうです。

井出さんの家族:
「おいしい」
「うまいうまい」

■「ここが海なんじゃないか」

直売所の営業は、木曜日から日曜日までの週4日。口コミなどで人気となっていて、100人以上が訪れる日もあるということです。

飯島さんは、これからも「日本一海から遠い地域に新鮮な海の幸を届けていきたい」としています。

八千穂漁業 直売所・飯島有哉店長:
「佐久穂は海から遠いんですけど、そんなことはみじんも感じないくらい、ここが海なんじゃないかっていうくらいの思いを持って、そういった思いが少しでも伝わればとお店づくりをやっていきたい」

長野放送
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