京都府南丹市で11歳の男子児童・安達結希さんの遺体が遺棄された事件で、養父の安達優季容疑者が逮捕されました。

容疑者は死体遺棄を認めると同時に、殺害についても供述しているとされます。

関西テレビ「newsランナー」では、元警視庁刑事の吉川祐二さんが解説。

結希さんが“行方不明”になり、安達容疑者から情報提供を求めるチラシを受け取った人たちが一様に「怖いほど冷静だった」と話したことなどを受け、「平静を装い、自分が犯人ではないんですよ』ということを周りにアピールするという狙いも考えられる」と意識的な感情制御があった可能性を示しました。


■「草の踏み荒らし具合まで確認したい」――現場の痕跡が語るもの

遺体が発見された現場では規制線が解除され、カメラが近くまで入りました。映像には細い道が映し出され、街灯のない暗がりが広がっていました。

その映像を目にした吉川さんは、真っ先に”草”に注目しました。

【元警視庁刑事 吉川祐二さん】「草を重要視している。それを踏みつけている状態があるのか、そのようなことは見たいですね。

実際にご遺体が置かれていた場所、寝かされていた場所、そこがどこなのか。そしてその周辺はどうなっているのか。鑑識作業を行った形跡があるのかとか、そのようなことを見てみたいと思いました」

さらに、遺体が置かれた位置そのものも犯人の心理を映し出すと指摘します。

【元警視庁刑事 吉川祐二さん】「ご遺体が置いてあった場所から、人が通るのが見えるのかどうか、また外からご遺体が置いてあった場所について分かるのかとか、そういうことも重要ですよね。外を見ることができるのであれば、慌ててその場に置いたということも考えられる」

■「普通で怖いくらい冷静」自ら通報し、自らチラシを配った父親

事件をめぐっては、安達容疑者の行動に周囲が違和感を覚えていたことも明らかになっています。大きく2点に整理されます。

1.自ら110番通報:「学校まで子供を送っていたが、迎えに行くと学校に来ていないと言われた」と自ら通報。

ただし警察が確認できているのは”学校の近くまで来ていた”という事実のみで、「学校まで送り届けた」という安達容疑者の説明とは矛盾しています。

2.自らチラシ配り:結希さんを探す活動の中でチラシを配る安達容疑者の様子を、受け取った人は「普通で違和感があった」「怖いくらい冷静だった」と証言しています。

この”怖いくらい冷静”という言葉について、吉川さんは次のように分析します。

【元警視庁刑事 吉川祐二さん】「”怖いぐらい冷静”というのは、言い換えれば平静を装っていたということもいえる。

110番通報をするとか、チラシを配るとか、そういうことをすることによって『自分が犯人ではないんですよ』ということを周りにアピールするということも考えられる」

慌てた素振りを見せなかったことについても、「慌てるような行動を、自分で押さえていたということも十分あります」と語り、意識的な感情制御があった可能性を示しました。

■「動機が分からなければ、事件は解決したとは言えない」 なぜ、何が引き金に

安達容疑者は結希さんの養父、戸籍上の父親でした。

警察の発表では、虐待に関する児童相談所などへの通報歴は確認されておらず、職場の知人からは「社員旅行でバスに隣同士で座るなど、仲睦まじい様子だった」との証言もあります。

一方で「2人で歩いているところを見たことがない」という話も出ており、2人の関係性には不明な点が残ります。

吉川さんは動機の解明の重要さを強調しました。

【元警視庁刑事 吉川祐二さん】「動機が分からなければ、その事件は解決したとは、私は言えないと思っています。ですから、動機の解明というのは非常に重要です」

菊地弁護士も「得てして殺人事件というのは、計画的に練られたものより、現場で感情的な高まりによって、『カーっとなって』起きるケースがむしろ多い」と指摘しました。

■「死因”不詳”はまだ調べる余地がある」 死因特定と”秘密の暴露”

今後の捜査の焦点は以下の4点です。

・他の死体遺棄現場の特定
・死因の特定
・死体遺棄容疑のみにとどまるか
・第三者の関与の有無

中でも最重要とするのが死因の特定です。現時点では死因は”不詳”とされていますが、吉川さんはこう述べます。

【元警視庁刑事 吉川祐二さん】「”不明”となったら全く分からないということになってしまうんですけど、”不詳”ということであれば、また調べる余地がある。

例えば体の中をもっと調べていくとか、薬物が投与されてなかったかとか、そういうことも含めて今後は捜査されていくものと思います」

胃の内容物や薬物投与の有無については、捜査当局は「回答差し控え」としています。

菊地弁護士は、胃の内容物の消化状態から死亡時刻をある程度推定できると説明した上で、「真犯人しか知り得ない情報」=いわゆる”秘密の暴露”につながるため、捜査段階での公開は難しいと解説しました。

■「Nシステムや防犯カメラを避けた」 遺体を”地域内”で移動させた理由

遺体は発見された場所に遺棄される前、別の場所に遺棄されていたと京都府警は明かしています。

なぜ狭いエリア内で遺体を複数回移動させたのか。菊地弁護士は防犯カメラとNシステム(ナンバープレートを自動で撮影する装置)の存在を理由として挙げます。

【菊地幸夫弁護士】「行方不明3日後の家宅捜索では、自動車が綿密に調べられていました。遠くまでご遺体を運ぶということになると、Nシステムとか、街を通ると防犯カメラがある。

それで発覚してしまうので、防犯カメラがないこの地域の中で遺体を動かしていたというようなことも推測される」

さらに吉川さんは自宅近くの別荘地や空き家が一時的な遺棄場所となっていた可能性にも言及しました。

【元警視庁刑事 吉川祐二さん】「空いている別荘や空き家同然の場所の中も、綿密に調べることによって、そのどこかに一時的にでも遺棄されていた可能性はあります」

捜査の進展や動機の解明が待たれます。

(関西テレビ「newsランナー」2026年4月16日放送)

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