大阪・関西万博などで使われた「EVバス」190台について、大阪メトロは、路線バスなどへの転用を断念しました。
理由は度重なる不具合。
現役のバス運転手がその実情を「3回乗務すれば絶対1回は何かしらの不具合」、「ハンドルは左に曲がっているのに、右方向に行ってしまう」と証言しました。
電気モーターで動き排出ガスがなく、環境に優しいEVバス。
大阪・関西万博で来場者を運ぶために大阪メトロが導入しました。
万博閉幕後も、市内を走行するはずでしたが、今は大阪メトロの森之宮検車場に停め置かれたまま。敷地を埋め尽くすほどの数です。
一体、なぜこのような事態になっているのでしょうか。
■「3回乗務すれば絶対1回は何かしらの不具合」東京都内のバス会社に勤務する運転手
「EVモーターズ・ジャパン」のHPによると大阪メトロが、万博に合わせて導入したバスのほとんどが、福岡県北九州市に本社を置く「EVモーターズ・ジャパン」のものです。
「EVモーターズ・ジャパン」は、バスの開発と販売を行い製造は中国の企業に委託しているということですがこのEVバスをめぐっては全国各地でさまざまな不具合が生じているそうです。
【東京都内のバス運転手】「3回乗務すれば絶対1回は何かしらの不具合にはあいますね。乗ると手汗が止まらないです」
こう話すのは、東京都内のバス会社に勤務する運転手。
現在も月に2、3回「EVモーターズ・ジャパン」のバスに乗務していて、去年、危うく事故を起こしそうになったといいます。
【東京都内のバス運転手】「ハンドルは左に曲がっているのに、右方向に行ってしまう。これが本当に国交省が許したバスなのかと。
その(EVMJの)バスに乗るかもしれないと思うと出勤もしたくないし、会社に行ってそのバスあたっていたらバス変えてくれないかなという気持ちになる」
■各地で相次ぐ不具合
このほかにも去年4月、福岡県筑後市がスクールバスとして導入しましたが、路上で急に動かなくなるなどのトラブルが相次ぎ使用を停止。
さらに去年9月には、大阪メトロのオンデマンドバスでも、回送中にハンドルが効かなくなり中央分離帯に乗り上げる事故が発生しました。
相次ぐ不具合に国交省は去年10月「EVモーターズ・ジャパン」に立ち入り検査を実施。317台のうち、3割を超える113台で不具合が確認されました。
これを受けて先月、大阪メトロは、これまでに購入した190台について今後、使用しないことを決定。路線バスなどへの転用も断念しました。
【大阪メトロ・河井英明社長】「EVモーターズジャパン社のEVバスに関して、多大なるご心配とご迷惑をおかけしておりますことお詫び申し上げます」
この問題に国交省は…
【金子恭之国交大臣】「大阪メトロから今後、当該車両使用しない旨の方針が打ち出されたことを受け、法令に則り補助金返還求めることとしております」
大阪メトロが購入したEVバスの総額はおよそ75億円。このうち国や大阪府・市から合わせておよそ44億円の補助金、つまり税金が使われており、国と大阪府は返還を求めるとしています。
■「EVモーターズ・ジャパン」は民事再生法の適用を申請 負債総額は約57億円に
大阪市の横山市長は「今後の対応は検討中」として返還請求についての明言を避けました。
【大阪市 横山市長】「補助金の返還請求の方針や金額等含めて、今時点でお伝えできるものはありません。関係機関と協議しながら対応を決定していきたいと思います」
この事態に、大阪メトロはどう対応するのか。14日行われた大阪市議会と大阪メトロの意見交換会でも市議から質問が相次ぎました。
【維新 黒田まりこ市議】「EVMJ社に対して契約解除や代金返還だけではなく損害賠償請求も含めた法的対応をどのように検討されるのか」
【大阪メトロ 堀元治常務取締役】「(EVMJ社に)購入代金の返還と車両の引き取りを求めていところでございます。回答いかんによっては提訴も必要と考えている」
しかし「EVモーターズ・ジャパン」は14日、「資金繰りが維持できなくなる懸念が生じた」として東京地方裁判所に民事再生法の適用を申請。負債総額はおよそ57億円にのぼるということです。
「EVモーターズ・ジャパン」は今後、スポンサーを募り、事業の再生を図るとしていますが、対応が見通せない状況となっています。
■菊地弁護士「補助金の回収そう簡単ではないかもしれません」
番組コメンテーターの菊地幸夫弁護士は、安全性に疑念を示すとともに、今後の「補助金の回収は難しい」という見方を示しました。
【菊地幸夫弁護士】「ハンドルを運転手さんが左に切ってるのに、車が右に行くというのは、どういう車なんですかね?
『民事再生法』は『再生』を目指す手続きですが、債権者の協力やそういうめどが立たない場合には破産に移行してしまう場合もあるんですね。ですから、補助金の回収もそう簡単ではないかもしれません」
(Q.このあと例えば民事裁判に発展した場合でも、回収は難しい?)
【菊地幸夫弁護士】「提訴しても、例えば再生がうまくいかなくて破産ということになると、結局、要は、取りっぱぐれてしまう可能性が高くなるということです」
(関西テレビ「newsランナー」 2026年4月16日放送)