高市総理大臣は15日、東南アジア各国などとのオンライン会合を開き、この中で地域の新たなサプライチェーン強靱化策・通称「パワーアジア」を新たに表明した。その上で中東情勢の悪化に伴う原油価格高騰を受けて対応に苦しむ東南アジア各国への融資などとして、総額100億ドル(約1兆6千億円)を支援する方針を伝えた。
オンライン会議はAZEC(アジア・ゼロエミッション共同体)の枠組みを中心に関係国を加える形で行われ、フィリピン、マレーシア、シンガポール、タイ、ベトナム、東ティモール、バングラデシュ、韓国の首脳が参加した。各国首脳はエネルギー安全保障、経済成長、脱炭素化の同時実現を目指す観点から、アジアゼロエミッション共同体に経済・エネルギー強靭化の視点を加え進化させるため、枠組みを「AZEC2.0」として進化させていくことを確認した。
会談後、高市総理は「現在、政府は国民の皆様の命と暮らしを守るべく、エネルギーや重要物資の安定供給に万全を期して、様々な施策に取り組んでいる。同時に我が国は、アジア各国とサプライチェーンなどを通じて密接に結びついており、相互に依存する関係だ」と指摘した。
その上で「アジアの燃料供給不足やサプライチェーンの停滞は、こうしたアジアから日本への医療物資の調達に支障をきたし、我が国の経済社会にも大きな悪影響を及ぼす。こうした観点から本日、私からは域内のサプライチェーン強靭化を目的に、アジアエネルギー資源供給力強靭化パートナーシップ、通称パワーアジアを発表した」と述べた。
その上で「これはアジアにおける原油・石油製品等の調達やサプライチェーン維持のための融資など、緊急対応への協力に加え、アジア域内の原油備蓄の拡大に向けた備蓄放出制度の構築や、備蓄タンクの建設・利用の協力、重要鉱物の確保、バイオ燃料といったエネルギー源の多様化、省エネへの取り組みを通じた産業の高度化など構造的対応に取り組むため、金融面での協力などを行うものだ」と説明した。
さらに、「日本は、中東情勢により苦境に陥った国へ石油を単に提供するといった関係ではなく、アジア各国とともに強靭なエネルギー重要鉱物サプライチェーンを構築することで、アジア全体が強く豊かになれる道歩んでいく」と強調した。
その上で「原油価格が高騰する今、多くの国や企業が原油調達に求められる。信用力の不足に直面している。今回の金融面での協力ではこれも補うことができるようにする。協力の総額は約100億ドルで、アジア諸国の原油や石油製品の調達に換算すると、最大で12億バレル=ASEANの約1年分の原油の輸入に相当する。こうした協力を通じ、アジア各国のサプライチェーンを支えることが、そのまま日本経済の強化にもつながる」と語った。
高市総理はまた、「アジアの国々と共にエネルギーの安定供給とサプライチェーンの強靭化に取り組むこのパワーアジアは、まさに高市政権が掲げるFOIP(自由で開かれたインド太平洋)の具現化でもある」として、日本のインド太平洋戦略の一環であることを強調した。