去年は全国的にクマの出没と被害が相次ぎ、異常事態とも言える年でした。そしてこれから冬眠が明けて活発化してくる時期ですが、今年の目撃件数は3月末時点で133件となっていて、前の年の同じ時期と比べておよそ3倍に増えています。
専門家は今年、”味をしめたクマ”に注意が必要だと指摘します。
記者リポート
「富谷市の小学校では付近でのクマの出没を受けてこのように子供たちがスズをつけて登校しています」
富谷市では昨年度、クマの目撃件数が前の年と比べておよそ3倍に増え、過去最多に。人身被害も発生したため、市内全ての小・中学生に、あわせて5000個のスズを配布しました。
保護者
「4月から小学校に入学なのでちょっと心配で、はじめの内は一緒に行こうかなと思っていて」
クマによって変わる日常。新学期が始まった週、学校近くでもクマが目撃されました。
記者リポート
「クマが目撃された現場です。近くには中学校があり、あたりには多くの住宅が立ち並んでいます」
同じ日、名取市でも…
記者リポート
「相互台小学校です。このすぐ近く、通学路にもなっているあたりでクマが目撃されたということです」
宮城県内では、昨年度、過去最多3559件の目撃情報があり、人身被害も発生。2人が死亡、4人がけがをしました。
また、栗原市栗駒に4人グループでキノコ採りに出かけ、クマに襲われた70代女性の行方は今も分かっていません。
記者リポート
「クマがとどまっていたのは仙台市の山間部にある温泉旅館の敷地内です」
年末まで出没が続き、対応に追われ続ける”異常事態”だった去年。クマの餌となるブナの実の”大凶作”が、要因に挙げられていますが、今年はどうなるのでしょうか。クマの生態に詳しい、専門家に聞きました。
岩手大学農学部・森林科学科 山内貴義准教授
「東北各県に関しましてはそれほど凶作にはならない、並作や豊作と予想されています。昨年秋のような大量出没はないんじゃないかと予測されています」
一方で、去年人里に出没し、餌を食べた経験を持つ、“味をしめたクマ”に、注意が必要だといいます。
岩手大学農学部・森林科学科 山内貴義准教授
「冬眠明けが気温の上昇で早くなる山に下草などの食べ物が繁茂する前に目覚めてしまうと、時季的なミスマッチをしてしまい、一時的に里に下りてくる、里でおいしい思いをした個体がいたりすると、そういった個体に関してはどんどん街中に出てきて、人と遭遇する機会が多くなるのかと思います」
ゴールデンウィークの行楽シーズンと、クマの冬眠明けが重なる懸念があるなか…
記者リポート
「去年およそ8万人の利用者が訪れた泉区の生涯学習施設。クマの出没が相次いだことを受けて、様々な対策に乗り出しました」
泉ヶ岳のふもとにあるオーエンス泉岳自然ふれあい館。学校の自然体験学習や登山客など、これから利用客増加が見込まれています。
オーエンス泉岳自然ふれあい館 熊谷祐彦館長
「(去年のクマの目撃情報)10月、11月で28件。多いです」
この施設では今年、クマと遭遇した際の対応をまとめたマニュアルを作成。
また、クマの侵入を防ぐために導入したのが…
オーエンス泉岳自然ふれあい館 熊谷祐彦館長
「これは動物の嫌う超音波とか光などを出す装置」
敷地の境界付近7カ所にセンサー式の「害獣撃退装置」を設置。さらに11カ所にセンサー式カメラを設置して、クマの出没状況を把握できるようにしました。
オーエンス泉岳自然ふれあい館 熊谷祐彦館長
「山にはクマは絶対いますので、安全だっていうことは絶対保証はないので、このマニュアルに従って行動していただくのが大切かなと思っております」
仙台市青葉区のアウトドア用品店です。
モンベル仙台店 甚野清英店長
「こちらがクマ対策品のコーナーとなっております」
需要が高く、去年は秋以降も品薄状態が続いたクマ対策グッズ。今年は例年より早く、在庫確認の問い合わせがきているといいます。
モンベル仙台店 甚野清英店長
「登山のお客さまはスズやスプレーは意識されていたが、普段用として常設する方が増えたことは体感している」
買い物客
「(登山を)今年は控えようかと思っていましたけど、爆竹も用意しましてリュックに全部入れて(山に)行ってますね」
グッズの活用とあわせて、専門家は、クマの出没情報を確認し、遭遇しないための行動をとっていくことが重要だと指摘します。
岩手大学農学部・森林科学科 山内貴義准教授
「暖かくなってきてクマの行動も活発化してくる東北においては、特に人里街中まで出没する可能性は非常に高い。自分のいる場所やこれから自分が行こうとする場所で情報が出された際には最大限に警戒してほしい」
クマの出没情報や、最新ニュースについては、仙台放送の特設ホームページでまとめて、確認することができます。
宮城県の自然保護課でも掲載している地図を活用していて、4月14日に今年度の情報に更新されました。
去年の目撃情報も掲載しています。自身や身の回りの大切な人の命を守るためにも、活用いただければと思います。