パソコンやスマートフォンなどのデジタル機器が普及し、現代はデジタル時代と呼ばれる。そんな中、「レンズ付きフィルム」、いわゆる“使い捨てカメラ”が在庫不足になっている。しかも5月から一気に。その謎を解き明かすためカメラ専門店を訪れると、子供たちのあの一大イベントが関係していることが分かった。

「品切れが続いている状態です」

片手に収まる大きさと、軽さ。撮影の枚数制限。1980年代に発売され、一世を風靡(ふうび)したレンズ付きフィルム、いわゆる“使い捨てカメラ”だ。30代以上の人たちにとって、カメラといえばこのカメラを思い浮かべる人が多い。

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スマホやデジカメの登場で、主流の座は奪われた。ただ、福井県内の店舗では今、この使い捨てカメラが入手困難になっている。福井市にあるカメラのキタムラ福井・バイパス南店で確認すると…。

福島涼太店長:
現在、大変人気がある。また部材不足で、品切れが続いている状態です

販売コーナーには「在庫切れ」「入荷待ち」の表示が。しかも5月から、一気に買い求める人が急増。すぐに品切れになっていた。さらに、写真現像の予約も一気に押し寄せ、特に休日は通常の10倍の予約が入っている。しかし、なぜ5月から一気に、購入と現像の需要が高まったのか。

福島涼太店長:
5月からが修学旅行シーズンで非常に売り上げが伸びている

アナログカメラを求めていたのは、デジタル時代を生きる10代の子供たちだった。

原則スマホが禁止で…

中学生に話を聞くため取材に訪れたのは、5月24日から3日間首都圏に修学旅行に行った福井市の大東中学校。

男子中学生:
レンズを見ながら撮ると、どこまで入っているか分かるので。こうしながらカチって撮りました。修学旅行で初めて使いました

令和の中学生は、本当に修学旅行で“使い捨てカメラ”を使っていた。ただ、スマホやデジカメがある中、なぜ生徒たちはアナログのカメラを持って行ったのか? 取材を進めると、「学校ならではの事情」が浮かび上がってきた。

女子中学生:
修学旅行はスマホがダメだったので…

学校では原則スマホが禁止されており、修学旅行でも使用は禁止となっていた。では、デジカメを持っていけばいいのでは?

3年学年主任の教諭:
家族間で考えた時にデジカメは高価、一眼レフは重たいとなった時に、使い捨てカメラに至った

スマホは禁止、デジカメは高価。そこで子供たちがたどり着いたのが“使い捨てカメラ”だった。福井市内にある中学校24校のうち19校が5月下旬に修学旅行を実施。一気に需要が集中し、在庫切れとなった。

「楽しみを待つ」アナログの魅力

ただ、令和の中学生にとって初体験のカメラ。実際の撮影では“苦戦”を強いられた。

男子中学生:
ダイヤルを回すことを知らずに、1枚目は撮れたが、2枚目は連続で押しても撮れなくて…手こずりました

女子中学生:
スマホのように内カメ(内側カメラ)にできなかったので、自撮りには苦労した

現像するまでどんな写真かを見ることができないのも特徴だ。ただ、その“待つ時間”も子供たちにとっては、新鮮な体験となった。

男子中学生:
画面の写真ではなく、初めて現像された生の写真を見るので楽しみ

結果が瞬時に現れるデジタル時代。フィルムカメラの体験を通して、子供たちは「楽しみを待つ」アナログの魅力を新発見した。

(福井テレビ)

福井テレビ
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