東京・大田区のクリニックが、インフルエンザワクチン接種の割引を条件に、グーグルマップで高評価を求めたことについて、消費者庁から初の行政処分を受けた。消費者庁は景品表示法違反とし、再発防止を求めた。
ステマ投稿45件…再発防止を求め初の行政処分
「割引するから高評価を」と、グーグルマップの口コミにステマ投稿を依頼し、「インフルエンザワクチンが安くて驚きました」などと書かせたとして、東京都内の病院が初めての違反認定を受けた。
この記事の画像(11枚)今回、消費者庁から処分を受けたのは、東京・大田区の商業施設にあるクリニックだ。
午後3時から行われた消費者庁の記者会見で、消費者庁表示対策課上席景品・表示調査官の口ノ町達朗さんは「インフルエンザワクチン接種のために来院した方に、口コミ投稿欄における☆5あるいは☆4の投稿を依頼した」と話している。
ネット上などで広告であること明らかにせず、口コミを使って宣伝を行う「ステルスマーケティング」。東京・大田区の「マチノマ大森内科クリニック」が、このステマ口コミを行ったとして、運営元の医療法人社団「祐真会」に対して、再発防止などを求める初の行政処分が出された。
2023年10月、このクリニックはインフルエンザワクチンの接種に来た人に『グーグルマップの口コミに☆5つまたは☆4つの高評価を投稿したら、接種費用を割引する」などと依頼し、少なくとも45件の口コミが行われたとしている。
このクリニックの口コミ欄をみると、全体の評価は☆1つと☆5つが多く両極端な印象だ。
その中で☆5つの口コミだけをみると、ワクチン接種に関する投稿が多くみられ、「インフルエンザの予防接種が安かったです」「(ワクチン接種が)他の病院より断然安い!ビックリ価格!受けなきゃそんそん笑」などという口コミがあった。
一方で、口コミの中には、「ワクチン接種時に『Googleに☆5のレビューを投稿すれば更に550円OFF!』と案内があったので、小銭に目が眩んで投稿しました。内緒ですよ!」といった投稿も見られた。
2023年10月に、景品表示法が禁じる不当表示の対象にステマが指定されて以降、消費者庁が措置命令を出すのは初めてだ。
消費者庁・口ノ町達朗さんは「今回の投稿をみても、それがステマ投稿であるかということを判別するのが困難。つまり明瞭にはなっていない」と話す。
このクリニックの利用者は、「割引で医者が客を集めるのは違うんじゃないか」「病院でそういうことがあったら、信用できないな」とコメントしている。
LINE友達追加は合法…違反の線引きは「ステマ」
消費者庁は「今回の事案は、一般の人がステマに巻き込まれた事案」としているが、『口コミ』や、『いいね!』の投稿がステマとなってしまう境界線はどこにあるのか、景品表示法に詳しい溝上宏司弁護士に聞いた。
クリニックではなく、飲食店でも例えば、「星5つくれたらドリンク1杯無料にします」と言われた場合は、違反に当たるの可能性が極めて高いという。星5つでなくとも「良い評価くれたら」だけでも違反の可能性が高いという。
また、「その場で口コミ書いてくれたら1杯無料」と言われた場合、店側が投稿内容を確認した上で投稿する場合は違反に当たる可能性もあるが、内容を見ていなければ大丈夫ではないかという。
あくまで違反となるのは店側で、「SNSでいいねつけてくれたら1杯無料」や「LINEの友だち追加で1杯無料」の場合は、不当な広告に当たらないため違反にならない。私たちもルールを認識して、守っていくことが大事になりそうだ。
(「イット!」 6月7日放送より)