カーナビから道が消えた…航空自衛隊基地を取材

ブルーインパルスなどを乗りこなす航空自衛隊の裏側を取材。

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福島テレビ・坂井有生アナウンサー:
一般道からちょっと入ったところに「航空自衛隊大滝根山分屯基地」と書かれた門があります。ゲートが設置されていて、この先は一般の方は立ち入り禁止です

守衛はいないが、専用の電話でゲートを開けてもらわないと入れない。
許可をもらい、車がすれ違えないほど狭い山道を、何分も進んでいく。
気づけばカーナビから道路は消えていた。

それでも進んでいくと、現れたのが「航空自衛隊大滝根山分屯基地」。

福島テレビ・坂井有生アナウンサー:
全く輸送機とか飛行機が見当たらないのですが、航空自衛隊の基地で間違いないですか?

1等空曹・堀達也さん:
間違いないんです!ここは航空自衛隊です

福島テレビ・坂井有生アナウンサー:
何をしている場所なんですか?

1等空曹・堀達也さん:
この基地には「警戒管制レーダー」があります。その「警戒管制レーダー」で、24時間・365日日本の空を警戒・監視し、守っています

航空自衛隊は24時間・365日、日本の空を監視し、国の平和と独立を守っている。
日本の警戒管制レーダーは、大滝根山を含む28カ所。

巨大な「警戒管制レーダー」は丸い?

1等空曹・堀達也さん:
それでは、レーダーに案内しますので

福島テレビ・坂井有生アナウンサー:
遠いのですか?

1等空曹・堀達也さん:
車でないと行けない

基地内でも離れた場所にある「警戒管制レーダー」。
なんと大滝根山の山頂にあり、標高1,192m。「イイクニ守ろう航空自衛隊」だそう。

福島テレビ・坂井有生アナウンサー:
厳重な扉を開けてもらいました。きょうは特別に、このゲートもくぐらせていただいて。これ(がレーダー)?

レーダーは、三角形を何枚も組み合わせた球体になっていた。

福島テレビ・坂井有生アナウンサー:
ここが監視をしている場所になるのですか?

1等空曹・堀達也さん:
そうですね。こちらの球体ですね。2つあるのですが、これが「警戒管制レーダー」になります。丸いのですが、レーダーを保護するためにおおっているんですね

「警戒管制レーダー」は、国籍不明機や弾道ミサイルの飛来を探知。
この情報は、各エリアの防空指令所に僅かな時間で送られる。
防空指令所が「国籍不明」と識別すると、直ちに戦闘機が緊急発進し対応する。いわゆるスクランブルは、年間900回に及ぶ。

福島テレビ・坂井有生アナウンサー:
日本の”へり”というか、”ふち”に多いような気がするのですが、そういう場所にある意味はどういうところにあるのですか?

1等空曹・堀達也さん:
日本の領海・領空というのは、日本の海岸線沿いから20kmにあるんですね。ですので、日本の海岸線沿いから監視をしないとすぐに発見できないということになりますので

まさに、空を見つめる「目」。
万が一に備え、基地内は「軽装甲機動車」で巡回・警備に当たる。

福島テレビ・坂井有生アナウンサー:
基地内を警備するレベルの車じゃないくらい、頑丈ですよね

警備を専門に担う隊員は「警備員」という専門職。

警備員2等空曹・吉田信吾さん:
国と国民の平和を守ることが基本になっているのですけども。そのために当部隊・当基地の置かれているところを安全にするため警備を選びました

「軽装甲機動車」に乗せていただいた。
私が顔を出しているのは通常、機関銃を設置する場所。
「軽装甲機動車」は、地上で基地を守る動く要塞のような存在だった。

「野戦釜」を駆使…特殊なごはんの炊き方

雨が降りしきるこの日、基地では偶然炊き出しが。
これは、隊員を食事で支える専門部隊「給養員」の訓練。

1等空曹・堀達也さん:
この基地には、炊事車がありませんので「野戦釜」を使って、ごはんの炊き出しをしています。訓練の1つとして

「野戦釜」は、多目的に使える屋外用炊飯器具。
1つあれば、主食なら一度に100人分、汁物なら150人分を調理できる。

福島テレビ・坂井有生アナウンサー:
実際に、災害が発生した場合も行うのですか?

1等空曹・堀達也さん:
東日本大震災のときにも、この野戦釜を避難所へ持っていきまして炊き出しをしました

野戦釜での炊飯は独特で、多めに湯を沸かして米を投入。かき混ぜながら湯を捨てて調整する。

福島テレビ・坂井有生アナウンサー:
水の量はどう判断しているのですか?

給養員:
水の量が適切になってくると、ポコポコと空気が出てくる…カニ穴と私たちは呼んでいるんですが、カニ穴が出来てきますと、ちょうどいい水分量になっていると判断しています

福島テレビ・坂井有生アナウンサー:
目盛りがあるとかではなく、経験がものをいうということですね。自衛隊の方には当たり前の炊き方かもしれないですが、こういう炊き方があるのかと思うとびっくりします

このご飯は、隊員たちの昼食に。
この基地では、月曜・揚げ物、火曜・魚、水曜・カレー、木曜・麺類、金曜・丼ものと決まっているが、このほかに…

"空を上げる"…航空自衛隊の唐揚げ

福島テレビ・坂井有生アナウンサー:
”そらあげ”ですか?

1等空曹・堀達也さん:
航空自衛隊全体で、より上を目指そうという意味を込めまして「空を上げる」と書いて”からあげ”と読むんですが、鶏の唐揚げです

航空自衛隊では、全体で上を目指していこうと、基地ごとに独自の「空上げ(からあげ)」を開発。

どれも個性的で、大滝根山分屯基地の「空上げ」は福島の郷土料理「いかにんじん」を使った「空上げ」。

給養員3等空曹・坪井芳樹さん:
いかにんじんの出汁をいかして、班一同で試行錯誤した結果、このような空上げになりました

その味は、防衛大臣をうならせるほど。

福島テレビ・坂井有生アナウンサー:
おいしい!いかにんじんの出汁の、ほのかな甘みが衣の中に溶け込んでいて、これハマリますよ

レシピは「航空自衛隊のHP」で公開されている。

<取材後記>

見上げれば、いつもの空が広がっています。
ただ、そんな当たり前の光景は努力して守られているという現状に気付かされました。

東日本大震災以降、県内では陸・海・空自の隊員が瓦礫の撤去や行方不明者の捜索などでも尽力くださいました。
一方で、被災した地域の空気は重い状態が続き、空を見上げる機会すら減った気がします。
そんな空気を一変させてくれた一つが航空自衛隊のブルーインパルスでした。

東北各地の祭を一堂に集めた六魂祭で、開催に合わせて福島市上空をフライパス。
あの日、福島の多くの人がブルーインパルスを見上げ、笑顔で手を振っていました。

それ以来、是非とも取材できればと考えていた航空自衛隊。
取材を通じて、「空上げ(唐揚げ)で空自全体を盛り上げていこう!」とか、そんなオチャメな一面も垣間見えました。
ちなみに、空上げは本当に美味しいのでオススメです。

福島テレビアナウンサー坂井有生