突然かかってきた1本の電話。
NTTを名乗る電子音声:
こちらはNTTです。お客さまが現在ご利用中のすべての通信サービスを、2時間以内に停止させていただきます。
NTTを名乗る男:
こちらの番号から不特定多数の方に“大量の迷惑メール”が送られております。
不安をあおる内容を伝えると、警察に相談するよう誘導しそのまま電話を転送。
別の男:
こちら大阪府警緊急通報ダイヤルです。どうされましたか?
これは、“劇場型サギ”と呼ばれる手口の詐欺電話で、NTTは関与を否定しています。
そんな中、ついに「イット!」スタッフのもとにも電話がかかってきました。
今、被害が相次いでいる警察官をかたる詐欺電話。
その被害額は、2024年1月は約23億円でしたが、2025年9月には130億円を超える深刻な事態に陥っています。
実際に秋田県に住む70代の男性は、警察官を名乗る男から「金を取りに行く」と言われ、玄関先に現金823万円を置き、回収されたあとに連絡が取れなくなる被害に。
そんな中、「イット!」のスタッフのもとに突如かかってきたのは、クレジットカード会社のスタッフを名乗る男からの電話でした。
クレジットカード会社スタッフを名乗る男:
クレジットカードで不正利用検知システムに該当。高額なギフトカードがいくつも確認され、10月1日水曜日、楽天ギフトカードの購入が5万円分と1週間後の水曜日にGoogle Playカードの購入が10万円分。
番組ディレクター:
私自身は購入していないと思うので、思い当たらない。
スタッフはギフトカードの購入だけでなく、悪用されたクレジットカード自体に心当たりがありませんでした。
クレジットカード会社スタッフを名乗る男:
みずほVISAクレジットカードと表示確認がとれている。
聞き慣れない「みずほVISAカード」にディレクターが契約を否定。
クレジットカード会社スタッフを名乗る男:
本人になりすました第三者による不正契約が考えられる。福島県福島市の店舗でのご契約。
番組ディレクター:
福島に今日行かなければならない?
カードを契約した福島県の警察署に出向くよう指示されましたが、難しいと伝えると、このまま福島県警に電話を転送するといいます。
すると、「こちら福島県警です。どうされましたか?福島県警察本部の三田幹也(みたみきや)と申します」と、福島県警を名乗る男が電話口に現れました。
福島県警察本部の三田幹也を名乗る男は、そのまま録音での事情聴取を提案し、「同居人の方が帰ってくる時間はありますか?」「来客予定とかはありませんか?」といい、絶対に1人で通話してほしいと来客の予定などを執拗に確認してきたのです。
さらに、「不安なまま個人情報を聞くこともできないので、まず福島県警察本部と調べてもらって、電話番号が書いてあると思うんですよ。第三者からの盗聴防止のため、【+1855】になります」と話します。
福島県警の代表番号を確認する時間を作ると、録音用に改めてかかってきた番号は、確かに県警の番号の先頭に「1855」がついたものでした。
この「+1855」は北米などの国際電話で、詐欺に用いられています。
その後、三田を名乗る男はテレビ電話に切り替え、マイナンバーカードを見せるよう要求。
番組ディレクター:
確認ですけど、詐欺ではないんですよね?この電話は。
福島県警察本部・三田幹也を名乗る男:
私が詐欺じゃないと言って簡単に信じられますか。今それくらい不安だと思うんですよ。詐欺師は「詐欺師じゃない」と言う。
三田を名乗る男は詐欺を否定。
しかし、スタッフが福島県警に三田幹也について確認すると実在しておらず、福島県警の生活安全企画課・菅野警部補は「全国の警察署で三田と名乗る詐欺電話は確認されております」と話します。
みずほ銀行は「みずほVISAカード」の存在自体を否定し、注意喚起。
このような手法について、平松秀敏フジテレビ解説副委員長は「ビデオ通話で取り調べをすることはまずあり得ない。身分証明書を提示させることも全くありません。(取り調べは)軽々しいものではないので、絶対信用しないでほしい」と、注意を呼びかけます。
NTTは特殊詐欺対策として、通話録音機能付き端末を推奨。
電話口の相手に「防犯対策のため録音している」と伝えることで詐欺行為を抑止するとともに、音声を解析し詐欺が疑われる場合には、親族などに注意喚起が行われます。
巧妙化し拡大する特殊詐欺。
家族などと情報を共有しながら対策することが重要です。