5日から早速、秋田県への自衛隊の派遣が始まりましたが一体、自衛隊は現地でどんな活動をするのでしょうか。

5日は元陸上自衛隊員で、現在レンジャー五領田法律事務所の代表を務めている五領田有信弁護士と見ていきます。

陸上自衛隊と秋田県が結んだ協定。
その支援の内容は、まず箱わなを運搬・設置する。
さらには捕獲・駆除されたクマの運搬、そして情報収集などを11月30日まで行うというものです。

そんな中、5日に秋田県の鹿角市で行われたのが箱わなの移動でした。

自衛隊員15人で車両7台を使って、もともと設置されていた箱わなを約6km先の場所に移動するという支援でした。

さらにはドローンの準備もあり、上空からの情報収集なども行うということです。

青井実キャスター:
今回の自衛隊派遣について、鹿角市の笹本市長は「大きな励みになる」「市民の安全確保に手が回らないので、自衛隊ができれば理想なんだ」という声を上げていらっしゃいますが、自衛隊の派遣によって効果はどのようにあると思いますか?

元陸上自衛隊員・五領田有信弁護士:
市民の安心など、心理的なところの側面が大きいと思います。

青井実キャスター:
自衛隊が入ることで、スピード感という面ではどうでしょうか?

元陸上自衛隊員・五領田有信弁護士:
機動力が充実しておりますので適材適所、何でもそろってますのでスピード感も高まると思います。

青井実キャスター:
自衛隊はあくまでも後方支援ということで銃の使用はしないということですが、その理由について五領田さんの見立ては、現状の法律では、自衛隊員が実弾使用を許される場面は“事実上ない”。そして、クマに遭遇しても警察官や猟友会以上に“見えない縛り”があるということです。この見えない縛りというのはどういったことなんでしょうか。

元陸上自衛隊員・五領田有信弁護士:
武器の使用を許されたとしても実弾を誰が携行するのか、どのような交戦をしたら発砲できるのかという細かい規定が。

遠藤玲子キャスター:
逆に法の縛りがなければ、自衛隊員がクマを駆除することは可能だということなんでしょうか。

元陸上自衛隊員・五領田有信弁護士:
可能といえば可能ですけども、撃ち方が立ち撃ちがないのでなかなか当たらないと思います。

青井実キャスター:
基本的に自衛隊の皆さんが訓練していることと、クマの駆除をする銃の撃ち方って全く異なるという認識でしょうか?どの辺が違うんでしょうか?

元陸上自衛隊員・五領田有信弁護士:
伏せ撃ちとひざ撃ちを使うかどうかというところで、至近距離で撃つ方法がないんですよね。

青井実キャスター:
実際に遭遇しても撃つこともできないし、もちろんその前に撃つという許可がないからということなんですね。

SPキャスター パトリック・ハーラン氏(パックン):
地元の皆さんにはとっても心強い支援だと思うんですけど、これはその場しのぎの対策にも見えるなと感じます。この先、クマ問題が毎年続くようになったら、それこそ猟銃が使える専門的な部隊を作ってもいいんじゃないかなと思うんです。いつも思うことなんですけど、日本の自衛隊は本当に幅広い活動をされていまして、被災地の支援もそうですし、鳥インフルエンザの殺処分などもそうなんですが、本当は国防の専門家なんですよね。そこに専念できるようにもして、違う部隊を作ってもいいかもしれない。ただでさえ今、自衛隊は2万人以上の人材不足になっているから防衛費が拡大するんだったら、こういう新しい部隊、幅広い活動専用の部隊に回してもいいかもしれないと思います。

青井実キャスター:
ただ、秋田県としてはありがたいという話もあるわけですからね。五領田さん、銃が使用できない中で実際にクマに遭遇した場合、自衛隊の皆さんは大丈夫なんでしょうか?

元陸上自衛隊員・五領田有信弁護士:
今回、銃剣と防弾チョッキが支給されていますので、かなりの完全装備だなと思いました。

青井実キャスター:
やはり自治体で今まで箱わななどを設置するよりも、自衛隊の皆さんが入るほうがスピード感であったり、体力的にもカバーできるようになりますかね。

元陸上自衛隊員・五領田有信弁護士:
もちろんです。

10月30日にクマ対策の関係閣僚会議で木原官房長官は、警察に対してライフル銃を使用した駆除の検討、クマの知識を習得し訓練を受けた警察官の確保、そして装備資材の整備などを求めました。

これを受けて、警察庁が11月4日に秋田県の職員に状況の聞き取りを行い、県が警察に求めることや警察がライフル銃を使う際の課題などについての意見交換をしたということです。

青井実キャスター:
今後、自衛隊に期待することはどういったことですか?

元陸上自衛隊員・五領田有信弁護士:
細やかな国民の負託に応えるという意味では期待していきたいと思います。