漁獲枠を超えたことで休漁となった、小型船でのスルメイカ漁。
11月5日に開かれる水産庁の審議会で漁獲枠の増枠が決まるのか。
イカの街・函館は固唾をのんでその結果を待っています。
函館港に係留されたままのイカ釣り漁船。
漁が休止となって、まもなく2週間が経とうとしています。
函館で活イカを提供してきた居酒屋ではこの日、定置網で取れたものを刺身にしていました。
生きたまま調理する活イカは店に届くとすぐに水槽に入れていましたが、入荷は止まったままです。
「定置網のイカはまだ漁獲枠があって取れるので、朝取れた定置網のイカはあるが、やっぱり活イカとは違うので、いつも通りの提供はできない状態ですね」
「(客が)『活イカありますか』ってうちの店は特に多いので『活イカが休漁の影響で入らない』と説明すると『わかりました』と来店されないお客さんも多数いる」(いずれもいか清 室田秀文さん)
この店に来ると必ず活イカのメニューを注文していたという客は…
「イカが取れなくなったのではなく、止められたというのが残念。やっぱり食べたいですもんね、この時期でないと食べられない」
「漁師さんがかわいそう。漁で生計が成り立っているわけだから」(いずれも函館市民)
水産庁はスルメイカの資源保護のため漁獲枠を設定しています。
3回増枠し漁獲枠は4900トンに増えましたが、10月15日の時点で全国の水揚げは5000トンを超えました。
このためイカ釣り漁船の漁師らでつくる「北海道いか釣漁業協会」は10月22日から自主的に休漁することを決めました。
「函館に来る観光客はイカが目当てで来る。そのイカがなかったらこれから先観光にも影響してくる」(函館市漁業協同組合 滝川久市組合長)
同じ時期に休漁となった青森県の漁業関係者は…
「長年イカ取れなかったんです。今年取れてやっと漁師さんもやれやれと思った中で、採捕停止というのは残念な形になっています」(青森県小型いか釣漁業協議会 三津谷良太事務局長)
2025年、青森県では三沢沖や八戸沖などでスルメイカ漁が好調で、漁連のまとめでは9月末までに約1370トンを水揚げしていました。
「複雑ですよね。法律は守らないといけないが、まだまだ取れるというところで休漁なので。漁師さんも生活ありますから」(青森県小型いか釣漁業協議会 三津谷良太事務局長)
北海道では9月に入り、苫小牧沖などの太平洋側で漁が好調でした。
しかし函館沖の周辺ではそこまでの勢いはなく、2025年度、函館市漁協の水揚げ量は約87トンにとどまっていました。
「函館市漁協では去年の約6割くらいしかまだ水揚げしていない。本当に死活問題だ」(函館市漁業協同組合 滝川久市組合長)
活イカは函館のシンボル。
スルメイカ漁の休漁は北海道有数のこの観光地に暗い影を落としています。
「いつも悠々とイカが泳いでいるこちらの釣り堀に今イカの姿はありません」(阿部空知記者)
いつもは観光客でにぎわう函館朝市のイカの釣り堀は水槽にカバーがかけられ休業していました。
「ショックですね。やっと見つけて来たら、やってないんで」
「とても残念です。イカを楽しみに来たので」(いずれも観光客)
「休漁となった日から2日たって在庫がなくなって、それから一切イカが入ってこなくなった」
「(イカが)取れなくてボタンエビで代えたがずっと(イカ釣りが)できないのは初めて」
「『これ(イカ釣り)だけのために来ました』っていう観光客も結構いる。そういう人たちが悲しむ」(いずれも元祖活いか釣堀の小野寺透さん)
10月30日、函館市の大泉市長らは水産庁を訪れ漁獲枠の拡大などを要望しました。
水産庁は翌31日、小型イカ釣り漁船に対し初の「採捕停止命令」を発出。
11月1日から2026年3月末まで全国でスルメイカが取れなくなりました。
「目の前にいるその魚を取りに行くことができないということが、いかに納得できないかということについて、強く申し上げてきた」(函館市 大泉潤市長)
漁獲枠の拡大を求めたことについてイカ漁師は…
「気持ちとしてはありがたい気持ちでいっぱい。11月5日にかかっている。それまでは待つしかない」(イカ漁師)
11月5日にも水産庁の審議会で漁獲枠の増枠が検討されます。
函館港からまたイカ釣り漁船が出港できることを漁師たちは待っています。