静岡県伊東市の田久保眞紀 前市長が失職したことに伴う市長選について、市の選挙管理委員会は11月4日に会議を開き、12月7日告示・14日投開票とする選挙日程を確定させました。
午前9時前。
伊東市の街頭に立ち、道行く車1台1台にお辞儀していたのは田久保眞紀 前市長です。
田久保眞紀 前市長:
本当にお世話になり、みなさんに期待してもらい、たくさん声もかけてもらったので、お礼と感謝の気持ちで挨拶をした
田久保前市長の失職を受けて伊東市の選挙管理委員会は4日午後に会議を開き、市長選について12月7日に告示し、14日に投開票を行うことを決めました。
5月に田久保眞紀前市長が初当選してからわずか半年あまりで再び実施される異例の市長選。
すべての始まりは6月初旬に届いた1通の告発文でした。
「東洋大学卒ってなんだ!彼女は中退どころか、私は除籍であったと記憶している」
これを受け、正副議長に卒業証書とされる資料を見せた田久保前市長。
ただ、議会側の疑念は晴れません。
伊東市議会・杉本一彦 議員:
あなたの言葉で言ってほしい。あなたの言葉で聞きたい。東洋大学法学部、平成4年3月に卒業していますね?
伊東市・田久保眞紀 市長(当時):
この件に関してはすべて代理人弁護士に任せているので、あとのことは弁護人から公式に発言のない限りは私からの個人的な発言は控えさせてもらう
当初は告発文を怪文書と切り捨て、まともに取り合わなかった田久保前市長ですが、議会側が百条委員会を設置する方針を固めると発言に変化が見られるようになります。
伊東市・田久保眞紀 市長(当時):
前に(正副議長に)見せた卒業アルバムや証書などそういった形になるが、とりあえず手元にあるものはそういう風に(公開)していこうかなと思う
しかし、迎えた7月2日の会見に約束したはずの疑惑の卒業証書は持参せず。
それでも”本物”という姿勢を崩しませんでした。
伊東市・田久保眞紀 市長(当時):
一度卒業という扱いになってなぜ除籍になっているのかはきちんと事実関係に基づいて確認していかないと(いけない)
福島正洋 弁護士:
あれが普通に考えて偽物とは思わない
その後も…。
伊東市・田久保眞紀 市長(当時):
私は本物だと思って必要だと思う人に見せている
福島正洋 弁護士:
私の目から見てあれが偽物とは思っていない
記者:
偽物ではないかという疑惑もあがると思うが?
伊東市・田久保眞紀 市長(当時):
いえ!
こうした中、東洋大学は8月6日にホームページを更新。
「本学学則では、卒業した者に、卒業証書を交付することとしており、卒業していない者に対して卒業証書を発行することはありません」
公式声明を発表しましたが、田久保前市長は…。
伊東市・田久保眞紀 市長(当時):
卒業できていない人間に卒業証書を渡さないのは当然なので、そこはきちんと確認するべき
大学側に責任を転嫁するかのような発言に終始。
一貫して強気な態度を通しましたが、百条委員会は調査の結果、田久保前市長の発言や認識は虚偽であると認定しました。
伊東市議会・井戸清司 議員:
東洋大学から提出された記録により、市長が保有する卒業証書とされる書類は正規発行されたものではないことが明確となった。東洋大学から提出された追加の記録の存在があるが、これをつぶさに確認することで市長が大学を卒業したものと勘違いしていたとする主張自体が、およそ成立することはあり得ないことであると判定づけることができた
伊東市議会・中島弘道 議長:
原案の通り決定することに賛成の諸君は起立を求めます
このため市議会は全会一致で不信任を議決。
伊東市議会・中島弘道 議長:
議会としては一刻も早く辞職することを望んでいます
伊東市・田久保眞紀 市長(当時):
ご意向は受け止めました
「意向は受け止めた」と口にした田久保前市長でしたが、9日後、選択したのは議会の解散でした。
伊東市・田久保眞紀 市長(当時):
伊東市が改革の道を進み、そして刷新されていく。つまりは衰退の道から再生の道へ至る過程において、今の在り方で良いのか改めて市民に信を問いたい
ただ…。
迎えた市議会議員選挙では定数20に対し、”反田久保派”19人が当選。
田久保前市長は有権者から市のトップとして不適格との烙印を押される結果となりました。
伊東市議会・杉本一彦 議員:
市民のみなさんは田久保市長の退場を願っている、そういった選挙だったと思っている
そして、解散後初の議会となった10月31日の市議会臨時会。
伊東市議会・犬飼このり 議員:
市政が傾いています。あなたがやったのは改革ではなく破壊。権力の私物化
再び不信任が議決され、この瞬間、田久保前市長の失職が決まりました。
伊東市議会・中島弘道 議長:
再びあなたを信任しないと議決したので地方自治法第178条第2項の規定により通知します
伊東市・田久保眞紀 市長(当時):
まずはきょう決定が出てそれを受け止めるところまでで、この先の進退についてはまた支援者とよく話し合いながら、自身も向き合って決めていきたいと思っている
田久保前市長の在職日数は市政史上最も短い156日。
市によると、退職手当192万3750円が支給されるということです。