愛知・名古屋市西区のアパートで、主婦の高羽奈美子さんが殺害された事件から26年。
先週、殺人の疑いで逮捕された女が調べに対し「奈美子さんには申し訳ないと思っている」などと話し、逮捕されるまでの26年間について「毎日不安だった」などと供述していることが分かりました。
ホームビデオで幸せそうな笑顔を見せる奈美子さん。
その命が突然奪われたのは、この映像が撮影されてから7カ月後のことでした。
2歳の息子・航平さんもいた自宅アパートで、当時32歳の奈美子さんが何者かに刺され死亡したのです。
夫の高羽悟さんはその後、航平さんとともに犯人逮捕に向け地道な活動を重ねました。
悟さんはまた、事件の証拠保全のため、引っ越したあとも現場となった部屋を借り続けていました。
こうした懸命な取り組みが先週、ようやく報われたのです。
奈美子さんを殺害した疑いで逮捕・送検されたのは、悟さんの高校時代の同級生・安福久美子容疑者(69)。
悟さんと同じ部活に所属していた一方、奈美子さんとは面識がなかったとみられています。
容疑者逮捕が判明した直後にFNNの取材に応じた悟さんは、安福容疑者との当時の関係について「バレンタインでチョコレートもらったりした。それ以来会ったのは事件の前年。27年前にOB会で。どうして(妻)殺害の動機になるのか分からない」と話しました。
こう話していた悟さんですが、2日の取材に対しては、ずっと忘れていた高校卒業後のある出来事について明かしました。
奈美子さんの夫・高羽悟さん:
(安福容疑者が大学まで)追いかけてきて僕の帰りを待って、近づいてきて声をかけて、喫茶店に連れて行って泣かれて大変だったということを妹にしゃべったみたいで、妹が覚えていた。
安福容疑者の自宅近くに住む人は、その印象について「どこにでもいる普通のおばあちゃんって感じの、優しい感じのおばあちゃん。『おはようございます』とかそれぐらいはしてたが、特にしゃべることはない」と話します。
2歳で母親の命を奪われた航平さんは2日、FNNの取材に、これまで抱えてきた複雑な思いを口にしました。
奈美子さんの息子・航平さん:
僕は結構…(事件の解決は)難しいんじゃないかというか。だいたい未解決事件って証拠があっても犯人が捕まらないとか、そういう事件も多い中で、僕らの事件もその一部になってしまうのではとなんとなく感じていたので…。(容疑者に対しては)全部真相を聞かせてほしいなと思っている。
名古屋市内の大型スーパーで事務員として働いていた安福容疑者。
調べに対し容疑を認めるとともに、事件からの26年間について「毎日不安だった。事件について新聞を見られなかった。発生日頃になると悩んで気持ちも沈んだ」と供述しているといいます。
加えて、「家族らに迷惑をかけられないし、捕まるのは嫌だった」とも話しているということです。
警察は、事件の背景に悟さんに対する何らかの感情がある可能性も含め、犯行動機を詳しく調べる方針です。