<J2第24節 北海道コンサドーレ札幌1-0サガン鳥栖>
明治安田J2リーグ第24節、北海道コンサドーレ札幌(11位/勝ち点31)は8月2日(土)、大和ハウスプレミストドーム(札幌市豊平区)で、J1昇格を争うライバル・サガン鳥栖(4位/勝ち点39)との6ポイントマッチに臨みました。
およそ3週間のサマーブレーク明けの再開初戦となったこの試合。岩政大樹監督(43)は、3月に行われた第5節vsブラウブリッツ秋田から採用していた4-4-2から3-4-3にシステムを変更。
また、U-22日本代表としてウズベキスタン遠征に参加し、2得点に絡む活躍を見せたMF原康介選手が、帰国4日目にしてスターティングメンバ―に。かつて日の丸を背負った指揮官は、「代表から帰ってきて、すぐ試合をするという経験は非常に大きなものです。僕にSっ気はないんですけれども」と、この日が10代最後の一日となるドリブラーをピッチに送りました。
コンサドーレは試合序盤、最終ラインからのビルドアップにより、鳥栖のハイプレスを抑制しながら起点を生みチャンスを創出。前半5分には、CB中央に入ったDF浦上仁騎選手(28)の最終ライン背後へのパスから、右WBの高尾瑠選手(28)がGKと1対1の場面を迎えますが、先制には至らず。次第に押し込む鳥栖の攻撃を守備陣が何とか防ぐも、重心が下がったコンサドーレは中盤を省略した攻撃が続き、先制には至りません。
後半に入っても耐える展開が続きますが、GK高木駿選手(36)がファインセーブを見せるなど、粘りの守備で鳥栖にゴールを割らせず。岩政監督は後半24分までに交代カードを使いきる攻勢に出ます。
すると後半32分、FW出間思努選手(20)のボール奪取から、高尾選手が左サイドへ展開。MF田中宏武選手(26)が左足であげたクロスを鳥栖GKがファンブル。このボールをMF荒野拓馬選手(32)が押し込み、待望の先制点。ゴール前に入り込んでいたFWマリオ・セルジオ選手(29)を加えると、途中出場した5選手のうち4選手が絡んだ得点となりました。
その後、アディショナルタイムを含めた19分間を体を張った守備で乗りきったコンサドーレは1-0で逃げきり、今シーズン3度目のクリーンシートを達成。リーグ後半戦ホーム全勝を継続し、J1昇格プレーオフ圏内6位との勝ち点差を5に縮めました。
岩政大樹監督「シーズン中にシステムを変えるということは、監督としては大きな決断です」
そう話す通り、劇薬とも言えるシーズン半ばでのシステム変更。指揮官は、「元々シーズンの頭から3バックをやりたかったということもありましたし、そこに戻るかどうかというところの決断は正直悩みました。色々行ったり来たりしながら考えていましたが、最終的には、こっちのほうが面白くなると。迷ったら面白いほうに行こうと思って」と、熟慮の末に至った決断の背景を明かしました。
さらに、3-4-3の持つメリットについては、「ゲーム全体でアグレッシブに行けるときは行く、行けないときは行かないという選択をできるようにすることが、このチームにとって大事なポイント。ここは“根深い問題”という言い方をしてきましたけど。アグレッシブに行きながらも、耐えるような時間もスムーズに90分の中で移行していくには、3バックのほうがやりやすい」と話し、この決断が昇格争いの最終盤へ向け、課題であったゲームコントロール能力を向上させるためのものだと話しました。
試行錯誤の末、シーズン残り15試合というタイミングでたどり着いた”監督・岩政大樹”の”最適解”は、就任時から発するキーワード「相手を圧倒するサッカー」への、ひとつの到達点となるか。佳境を迎える今後の一戦一戦が、その答え合わせの場となります。