百貨店の顔とも言うべき紙袋。大丸松坂屋では30日から紙袋のデザインを新しくする。
これまでのデザインは、大丸が孔雀をイメージしたストライプの柄が特徴、松坂屋は洋ランの女王とも言われる「カトレヤ」をモチーフにしたものだった。
紙袋に込められた想い
大丸としてはは35年ぶり、松坂屋としてはは23年ぶりの大きなデザイン変更だ。
変更するとはいえ、大丸は「丸」、松坂屋は「四角」という形に、それぞれの屋号の歴史や伝統をこれからも引き継いでいきたいという想いを込めた。

また、大丸と松坂屋が統合して15年目という節目を迎えたことから、これまでの「店舗ごとのブランディング」というコンセプトを一歩進め「大丸松坂屋百貨店」としての統一したブランドづくりを目指し、その考えをデザインにも反映したという。
エコバッグとは違う
2020年7月から「プラスチック製買い物袋の有料化」が始まって5年になる。
民間企業の調査(※出典:2024年6月 民間企業ナビットが男女1000人に行ったアンケート)によると、「エコバッグを常に持ち歩いている」と答えた人は75.9%、「時々持ち歩いている」と答えた人は17.8%だった。つまり9割以上の人がいつもではないにせよ、エコバッグを持ち歩いていることになる。

このためスーパーやコンビニなどでは、エコバッグを持参しレジ袋を使わない客が「有料化」以降は増えている。
一方で、百貨店の紙袋の提供を断る人はレジ袋を断る人に比べて少ない。多くが無料で提供しているからという理由も一部にはあるだろう。

しかし百貨店ならではの“高級感”を大切にしたいという気持ちが今も客に根強くあるのかもしれないと、大丸松坂屋の関係者は「百貨店の紙袋は、そのブランドを象徴するもので、買い物体験に特別感や信頼感、安心感を与えてきました」と話します。
また、「マイバッグが浸透する中においても、お客様にとって百貨店の紙袋は商品を持ち運ぶことを超えた意味があると考えており、お客様からの紙袋への期待がある限りは、紙袋の提供を続けていきたいと考えております」ということです。
消える「大丸」と「松坂屋」の紙袋
ただ、これまで長く親しまれてきた「大丸」「松坂屋」それぞれの紙袋がなくなることについて、大丸松坂屋の関係者は、「従業員としても、長い間親しんできた紙袋が切り替わることについての寂しさはありますし、お客様からも一部そのようなお声をいただいております」としながらも、「SNS上では、新しいデザインに対して『素敵なデザイン』『早く新しいデザインの紙袋が欲しい』というようなポジティブなご意見をいただいております。また、これまで大丸松坂屋百貨店とはあまり縁がなかったという方からも、紙袋のデザインをきっかけに当社に興味を持ったという反応もいただいております。」と回答は明るい。

大丸松坂屋では、これからも無料で紙袋を配布するそうだ(※大丸福岡天神店を除く)。

そうしたなかでも百貨店の紙袋には「無料だから」という思いを超えた、特別な価値があるのかもしれない。
【執筆:フジテレビ経済部記者 栁原 弥玖】