様々な分野で導入が進む人工知能・AI。教育現場でも使われ始めています。教員の「長時間勤務」が全国的にも問題となっている中、「働き方改革」にテストの採点でAIを利用している中学校を取材しました。


長野県塩尻市の広陵中学校です。この日は3年生のテスト。生徒たちが下校し終わると、職員室では早速、採点が始まりました。

ただ、採点するのは教員ではなくAI。回答用紙をプリンターに読み込ませます。


選択問題は瞬時に採点されます。もちろん選択問題以外は教員が採点しますが、それでも以前より格段に効率が良くなりました。

教員:
「前は1人ずつ手作業で採点して、(点数の)計算をしながらやるのも苦手なので、1クラスやるのに2時間とか。(AIソフトは)速い時は1時間とかで採点が終わることもあります」


広陵中学校・高橋和幸教頭:
「採点の時間を日課の中で確保しているが、どうしてもその時間をオーバーしていたが、その時間の中で採点を終えて、帰宅する職員もたくさん出てきたように思う」

2025年度から取り入れたAIによるテストの採点。背景にあるのは全国的にも問題となっている教員の「長時間勤務」です。

実際、県教委によりますと、公立の小中学校教職員の時間外勤務時間は、2024年5月の平均で49時間8分、最も多い月は51時間38分でした。

こうした現状を受け、塩尻市は2025年度、教員の「働き方改革」を進めています。予算に150万円を盛り込み、広陵中学校を含めた市内4つのモデル校にテストの採点用のAIソフトを導入。

また、別の学校では水泳の授業の民間委託やロボット掃除機も取り入れ、負担がどれだけ減るか実証実験を行っています。

教員:
「記号とかは一気に採点してくれるのでかなり速くなる。テストの日になると、遅くなっていたが、すぐに帰れるようになった」
「子どもたちとゆっくり話したりとか、笑顔で対応したりとかにつながると思うので、心に余裕を持ち働くという上で、すごく助かっているのではないかと思う」

広陵中学校ではAIソフトの導入以外でも効率化できるところなどを探し、働き方改革につなげたいとしています。

広陵中学校・高橋和幸教頭:
「生徒と向き合う時間をつくるとか、教材研究する時間を勤務時間内につくることが一番の目標。まだ他にもいろいろなものが精選できるかと思うので、これからもどんどん見つけていきたいし、みんなで話し合っていきたいと思う」

長野放送
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