北海道で暮らす働くママの1日を追いかける観察ドキュメント「ママドキュ」。

 子育ても仕事も頑張りながら働くママさんたちのリアルな1日をのぞくと、限られた時間で家事・育児をこなす究極の時短ワザの連続でした。

 今回の主役ママは、札幌市中央区に住む、もとみさん40歳。3歳から14歳、合わせて5人の子どもを1人で育てているシングルマザーです。

 美容アドバイザーとして働きながら、手作りのアクセサリーを販売して、一家を支えています。一体、どんな1日が待っているのか…もとみさんの1日に密着しました。


 午前6時30分、子どもたちが起床。朝から何かに夢中な、下の男の子3人組…。

 3人で眺めていたのはカブトムシ。次男のこだかくんは「ママ!ママ!なってる!ママ、やばいって。カブトムシになってる」と興奮気味。

 どうやらカブトムシの幼虫が成長して成虫になっていたようです。


 午前6時50分に朝食。

 もやしのナムルにトマト、キュウリなど、お皿には野菜だけ。

 なかなか野菜を食べない子どもたちにできるだけ野菜を食べてもらえるように、先に野菜を出してから、次のごはんを準備するんですって。


 朝ごはんは、パンよりお米!

 最近お米が高いですが「育ち盛りだから我慢させちゃいけない」と、もとみさんの両親も力を貸してくれているのだそう。

 この日は、前の日に買っておいた総菜の唐揚げと、調理いらずのカニカマがメインのおかずです。


 そして、粉末のコーンスープをごはんにかけた、その名も「コーンご飯」。お湯を注ぐと甘いリゾットみたいな味わいで、子どもたちに大人気なんです。

 コーンスープは業務用。あっという間に消費するので、量が多くコスパがいい業務用を愛用しています。


 さらに、せっかくなら栄養もとってほしいとスープの一部をコーンスープ味のプロテインに置き換えるのが、もとみママのこだわり。

 三男のたかまくんも、コーンご飯ならペロリと完食です。


 長女・りおなさんが弟たちを見てくれている間に、ママは急いで夕飯の味噌汁を作ります。「極力バランスよく食べてほしい」と野菜たっぷり。

 「口にするものは大事」と次女が生まれてから気づいたのだそう。


 5人兄弟の2番目、次女のみいなさんは、国内に1000人程度しかいない難病「レット症候群」で体が不自由です。

 胃につないだチューブで食事を摂るなど、医療的なケアが欠かせません。


 お兄ちゃんたちは自主的に、忙しいママのお手伝い…?と思ったら、積み上げるだけ!

 叫んで走り回って、泣き声まで聞こえてきて、ママは味噌を手に持ったままケンカの仲裁に。

 その様子を、次女のみいなさんはニコニコ見守っています。


 呼吸の管理が必要な次女を一人きりにしないため、分刻みで動きます。

 長女・りおなさんが出かける前に、下の子たちを見送りに。

 りおなさんは、妹の医療的ケアをほとんどできる、ママの頼れる戦友です。


 午前8時15分、長女が学校へ。

 出発時間になんとか間に合ったもとみママ。

 毎日必ずすみずみまで掃除します。


 ここでようやくひと息。取り出したのは、紫色の飲み物。ラベンダーが入ったハーブティーなんです。

 お茶が大好きで、毎日2種類は煮出しておくそう。そのときに大活躍なグッズが、もとみママのベストバイ!


 耐熱ガラスメーカー・ハリオの「フィルターインボトル」。

 キャップに茶こしが付いていて、茶葉をそのまま入れられるすぐれもの!食洗器対応で洗いやすいのもお気に入りのポイントです。

 熱湯OK、冷蔵庫OK。横にしてもこぼれないんですって。


 午前9時10分。次女の通院の時間。

 その後、デイサービスに預けたら仕事開始です。


 もとみさんの仕事は「美容アドバイザー」。体の悩みを抱える人に解決法をアドバイスしたり、化粧品を販売したりしています。

 もともと20代の頃も美容業界で働いていましたが、今は次女・みいなさんの子育てを経て得た知識や経験も生かされているんだそう。

 「(みいなが)生まれなかったら、食のことも美のことも、添加物とか農薬とか、全然こだわっていなかった。(みいなが)気づかせてくれた」ともとみさんは話します。


 一家の大黒柱でもあるもとみさん。仕事はもうひとつ。

 手作りのアクセサリーの販売です。

 大ぶりで、他にはない華やかさが特徴のアクセサリー。もともとは趣味で製作していたそうですが、今は、次女を見守りながらできる、貴重な収入源になっています。


 「人と被らない、でも静かすぎず、派手な方が好きなので。インパクトを与えるというか。 5人を一人で育てているって『大変だね』って言われるけど、大変だけじゃないよっていうアピール?かなぁ」ともとみさん。

 大変さや過去の苦労を隠す、鎧のようなものなのかもしれません。


 長女・りおなさんの出産後、初めての育児や当時の夫との関係に悩み、ひきこもりがちに。気づけば、大好きなオシャレもできなくなっていました。

 「髪の毛も伸びっぱなし、悩みすぎて痩せた時期もある。生きている心地がしない。自分って生きている意味あるのかな」と落ち込む日々が続きました。

 忘れかけていた自分らしさ。3年前、子どもたちのために我慢していた離婚をついに決意し、今の暮らしを手に入れました。


 「先を見て一瞬不安になる。5人抱えて…と思う。大丈夫かなと、このままちゃんといけるかなとか、また(気持ちが)落ちたらとか思うけど」ともとみさん。

 でも「考えてもしょうがないし、そうなってないから」と笑います。


 午後3時30分。仕事を終え、近所の八百屋でお買い物。

 「さんさん市場」は、農家で直接買い付ける野菜が中心。無農薬のものが多いのもお気に入りのポイントです。

 実は、以前は喫茶店だったという異色の八百屋。パンやスープなどの加工品も人気です。

 「手作りだからたまに買う」というスパイスカレーも、もとみママのオススメだそう。

 午後5時10分、夕飯づくり開始。

 この日の夕飯は、フライパンひとつで出来るというパエリア。

 パエリアは米をとがなくていいので、時短に。


 もとみさんのパエリアに欠かせないのが、長沼町のハンバーガーショップ「ワイルドハーブ」の燻製手羽先。

 もともと店が近所にあったころからのお気に入りで、今もドライブがてら買いに行くんだそう。


 味付けは燻製のスパイスと酒と塩のみ。あふれるほどたっぷりの手羽先をのせたら、あとは炊くだけ。

 ふたを開けると、食欲を刺激する燻製のいい香りが広がるんですって。


 午後5時15分。長女・りおなさんが帰宅。

 忙しくなる夕方に合わせて、いつも早めに帰宅してくれるりおなさん。

 仕事中に買っておいたちょっぴり高いプリンは、頑張り屋のお姉ちゃんに感謝の気持ちを込めたご褒美です。


 「言葉では全然表さないけど、少しでもママの手が軽くなればいい」と、お母さん思いで、しっかり者のりおなさんです。

 午後5時45分、三男が帰宅すると、毎晩恒例のダンスタイム。

 長女・りおなさん、長男・ゆうがくん、次男・こだかくん、三男・たかまくん、みんなでダンス。

 すぐそばで、次女・みいなさんがスヤスヤと寝息をたてます。

 「輝いていたい。(子どもが)5人いても輝ける、イキイキできるような人生を生きていきたい」と話すもとみさん。

 笑い声が絶えない食卓。これが、もとみさんと子どもたちが築いた日常です。

北海道文化放送
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