福山市教育委員会は、きょう、市立小学校で重大ないじめ事案があったとして、調査報告書を公表しました。
福山市教委の調査報告書によりますと、去年5月2日午後4時50分頃、市内の公園で、6人の児童が「アリジゴク」という滑り台から人を引きずりおろす遊びをしていたところ、1人(6年生)が同級生に蹴られ、高さ約2.6メートルの滑り台から落下。地面に落ちた児童は、救急車で病院に搬送され、その後帰宅しましたが、その後の診断で、背骨7か所と胸骨3カ所から出血するけがをしていたことがわかりました。
市教委は「相手が『やめて』と言ったにもかかわらず再び蹴ったこと」「心身に重大な被害が生じたこと」から、いじめ重大事態と判断したということです。
7月には、被害児童の保護者からの申し立てで学校が調査を行い、加害児童から被害児童に対するいじめがあったことが確認され、その後、9月に被害児童はPTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断されたということです。
学校側は被害児童が安心して学校生活を送れるよう、使用するトイレの場所をかえたり、修学旅行でも加害児童と接触しないよう対応をとったということですが、被害児童は結局、加害児童と別の中学校に進学せざるを得なかったということです。
また、被害児童は、2年生の時に、加害児童による「いじめがある」とアンケートに書き、学校も把握していたということですが、その情報は、児童が4年生になって以降、教職員の間で共有されていなかったということです。
市教委は「この度の重大事態により、被害に遭われた児童とご家族をはじめ多くの関係者の皆様にご心配とご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。今後、二度とこのようなことが起きないよう再発防止と、子どもたちが安心して過ごせる学校づくりに、全力で取り組んでまいります」とのコメントを発表。
再発防止策として「いじめの定義を正しく理解する教職員研修」を進めるほか、「いじめ防止委員会の機能充実」を図るとしています。