長男を粘着テープで巻いて身体の自由を奪ったほか、十分な食事を与えず心肺停止にさせるなどした罪に問われている母親と祖父の裁判で、検察は、2人に、それぞれ懲役5年を求刑しました。
起訴状などによりますと広島市南区の無職、母親の熊谷瞳被告(27)と祖父の和弘被告(52)は、去年9月、自宅で当時3歳だった長男の両腕や両足首を粘着テープで巻き付けて約5時間半にわたり拘束した罪に問われていて、今年4月の初公判で起訴内容を認めています。
20日開かれた裁判では被告の2人が去年10月上旬ごろから今年1月ごろまでの間、やせ細った長男に十分な食事を与えたり医療機関を受診させたりせず、心肺停止にさせて低酸素脳症の傷害を負わせた罪の裁判も始まり、被告らは、それぞれが「まちがいありません」と起訴内容を認めました。
裁判では、2人がかんしゃくを起こす長男の「しつけ」として、食事を与えなかったことで去年5月の時点で14キロ程あった長男の体重が、今年1月時点で6.3キロまで減っていたことが分かりました。
また、和弘被告が「太らせてから病院に連れていくべきだ」と瞳被告に指示していたことも明らかになりました。
被告人質問で、「なぜ病院に連れて行かなかったのか」と問われると、2人は「虐待を疑われるのが怖かった。
瞳被告と元夫の離婚手続きなどもあり、後回しにもなっていた」と述べました。
さらに瞳被告は、長男の食事に関して「和弘被告が仕事に行っている時は、長男にお菓子をあげたり自分の食事を分けたりしていたが、和弘被告に『甘やかすからよくない』と言われ、以降あげなくなった」と話しました。
論告求刑で検察は「長男以外の子には食事を与えるなどしており、長男に対する差別的な扱いは、『しつけ』ではなく『いじめ』で極めて悪質」などとして、2人に懲役5年を求刑しました。
一方、弁護側は「罪と真摯に向き合い、拘留中も親としてできることに取り組んでいる」などとして和弘被告に執行猶予付きの判決を求め、瞳被告に保護観察付きの執行猶予判決を求めました。
判決は来月14日に言い渡されます。