5月発生した山体膨張に伴う桜島の活発な噴火活動から、1カ月余りがたちました。

回数は減りましたが今も噴火活動が続く桜島の最新の状況について取材しました。

新井雅則気象予報士
「山体膨張から約1カ月、桜島山頂付近は雲がかかって噴煙は見えませんけれども穏やかな様子です」

札幌からの観光客
「噴煙がリアルに見えるのかなと思っていたが、見えないのでちょっと残念」

宮崎からの観光客
「毎回来るたびに景色が違う。それが一つの魅力」

5月15日の桜島です。

南岳山頂で連続噴火が発生し、噴煙は火口から最大3500mまで上昇。

大隅地方を中心に灰が降り、飛行機が欠航するなど生活への影響も出ました。

気象台は山体の膨張が続いているとして警戒を呼びかけていましたが、噴火から1カ月余り、今、桜島はどんな状況なのでしょうか?

鹿児島地方気象台・林幹太火山防災官
「今は(山体膨張を示すデータ)はほとんど横ばい。(山が)膨らんだり縮んだりという状況ではない。現在、噴火はそれほど活発ではない。(噴出物が)外にあまり出ていなく、(地下にも)多量のマグマは入っていない。結果的にほとんど横ばいという状況」

2025年3月以降の山体膨張の動きを示す傾斜計、伸縮計のデータです。

縦の数値が上にいくほど山体が膨らみ、下にいくほど縮むことを示しています。

4月に入り、縮む傾向にあった桜島の山体。

しかし、5月12日の夜、その傾向は反転して山体が急激に膨張します。

その後、一気に噴火活動が活発になりました。

5月だけで桜島は146回の噴火を観測。

ひと月で100回を超えたのは、約5年ぶりでした。

気象台・林幹太火山防災官
「桜島の地下に新たなマグマが供給されたその結果、山体が膨らんできた。マグマが入ってきたので噴火活動が活発化した。それが一番考えられる要因」

6月の爆発回数は19日までに2回と少なく、山体膨張は3カ月前のレベルに戻り、今はほぼ横ばいの状態です。

今後の噴火活動はどうなるのでしょうか?

気象台・林幹太火山防災官
「今回のような山体膨張が確認されれば、また噴火活動が活発化する可能性はある。山体の急激な膨張は一番注視しておく必要がある」

さらに忘れてはならないのは、現在、桜島がある姶良カルデラの地下には、20世紀以降最大規模の噴火となった「桜島の大正噴火」と同じ量のマグマが蓄積していると考えられていることです。

気象台・林幹太火山防災官
「大正噴火クラスの大噴火の前は、大地震の連発や桁違いの山体膨張があった。今はそういう状況ではない。大噴火が差し迫っている状況ではない」

鹿児島テレビ
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