岩手県西和賀町の小学1年生が使っているちょっと変わったランドセル。木工作家の父親が手作りしたというランドセルです。
授業が終わり帰り支度をする湯田小学校（西和賀町）の1年生・工藤暖（だん）くん。
暖くん
「僕のランドセルは木でできています。僕のお父さんが作りました」
暖くんが使っているちょっと変わったランドセルについて同級生たちは「木で硬くて、横のとか中とか」と話します。
暖くんのランドセルは、世界にたった1つのお父さんが手作りした木製のランドセルです。
西和賀町中村にある家具工房「ｎｏｋｋａ」の代表を務めるのは、暖くんのお父さん・工藤博さん（51）です。
どうして木製のランドセルを作ったのか聞いてみると…
工藤博さん
「ランドセルを買うという選択肢もあった。木工屋として色々作っている中で息子のランドセルも自分で作れるんじゃないかと」
木工職人の博さんは、自宅にある工房でオーダー家具や木の雑貨を製作・販売していて、紙コップを持ちやすくするホルダーや木製のスーツケースなどユニークなオリジナル商品も作っています。
そんな博さんが特別な思いで作ったのが、息子・暖くんのためのランドセルでした。
博さんは「結構早い段階で作ろうという思いはあった。入学の半年前には作ろうと決めていた」と振り返ります。
思いついたアイデアをもとに暖くんの意見も取り入れながら設計をはじめ、2025年2月からランドセルの製作に取りかかりました。
工藤博さん
「さすがにこのフラップの部分と、あと肩ベルトも木はないなと思った。隣の横手市に素敵な革職人がいて木と革のマッチングがいい雰囲気になるんじゃないかと思った」
本格的に作業を始めてから約1カ月半。
博さんのアイデアと愛情がいっぱい詰まった世界に一つのランドセルが完成しました。
サイズは一般的なランドセルより一回り大きく全体に防水加工が施されています。
材料には「ウエスタンレッドシダー」という軽くて丈夫な木を使いました。
重さは2.4キロと一般的なものより1キロほど重くなってしまいましたが、それでも暖くんは「ちょっと重いけど慣れてきたから大丈夫」と嬉しそうに話します。
入学してから2カ月以上使っていますが、問題は無いようです。
ーーお父さんが作ったランドセルに点数をつけるとしたら何点？」
暖くん
「100点…くらい」
工藤博さん
「100点くらいか…（笑）。息子のために手作りでランドセルを作って使ってもらうという経験は今しかできない。自分の人生の中でそれをできることは喜びだし。このランドセルを通じて物を大切に使って欲しいし、そのことを学んでもらいたい」
木のぬくもりと父の思いを背負いながら、暖くんはきょうも元気に学校へ通っています。
