コメの高騰が社会問題化する中、毎年、稲に被害をもたらしているのが、イノシシなどの動物だ。こうした鳥獣被害を減らすためにも農家などが参加して狩猟免許を取得するための講習会が開かれた。

被害多発も人材不足…農家の“狩猟免許”取得を後押し

6月、新潟県十日町市で開かれていたのは、狩猟免許の取得を希望する農家などを対象にした講習会だ。

狩猟免許を取得するための講習会
狩猟免許を取得するための講習会
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より多くの人に狩猟免許を取得してもらおうと、JA魚沼と地元の猟友会が毎年講習会を開催。参加者は猟銃の扱いやワナの設置方法など実際の試験で課される課題を学ぶ。

参加者は「地域によくクマやイノシシや害獣が出るので(農地などを)守りたいと思い来た」と参加の理由を話す。

これからの時期、十日町市内では鳥獣による農作物の被害が多く発生し、2024年は十日町市内だけで1000万円ほどの被害が出ている。

提供:山﨑久雄さん
提供:山﨑久雄さん

さらに、十日町市では地域の高齢化が進み、狩猟免許を取得している105人のうち60歳以上が7割を占めていて、有事の際すぐに活動できる人材が不足しているのが現状だ。

県猟友会の池田富夫会長は「『イノシシが出た。お願いします』と言われても、誰も行けないというのが現状」だと話す。

山間部は被害避けづらく「自分の田んぼは自分で守らなければ」

今後も懸念される農作物への被害。参加者から多く聞かれたのは、コメへの被害の不安だ。

参加者の中には「稲が穂を出すとすぐ食べにくる。イノシシが集団で。田んぼの周りに網をかけてみたが、それを無理やり引きちぎる。ハクビシンは力があるのでやられた」と被害に遭ったときの状況を話す人も。

自らもコメを生産しているJA魚沼の大嶋友吉さんが案内してくれたのは、周囲を木々に囲まれた山間にある田んぼ。

山間の田んぼ
山間の田んぼ

大嶋さんは「山間部の条件が悪いところでは、自分の田んぼは自分で守らなければいけないということで狩猟免許を取得する人がいる」と話す。

こうした山間にある田んぼでは、鳥獣による被害が避けづらいという。

「稲の上に体をこすりつけ、のたうち回る。稲に臭いがついて、乾燥調整しても異臭や動物臭がして食べるには厳しいものになる」

コメの高騰が社会問題化する中、稲を守り、コメを消費者に届けるためにも大嶋さんは狩猟免許を取得する若者を増やしたいと考えている。

「若手からどんどんと免許の取得をやってもらえるような環境づくりができれば」

(NST新潟総合テレビ)

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