菅新政権が発足して1週間。4連休が明けて本格的に政策課題に向き合うことになる。
どのような政策にどう取り組んでいくのか、その行方を探った。

消費増税にコロナが追い打ち…

第二次安倍政権は看板政策「アベノミクス」を掲げて経済の再生を進めてきた。
日銀が推進した大規模な金融緩和が、円安をもたらし、企業の業績は上向き、株価も上昇した。
財政出動の効果も加わり、政権発足当初、約498兆円(2012年10-12月期)だった実質GDP=国内総生産は、539兆円(2019年7-9月期)まで増えた。

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しかし、新たな市場の創出や規制緩和などによる成長戦略はあまり進んでいない。
企業業績の改善が消費の拡大につながる「景気の好循環」は実現しないまま、2019年10月の消費増税で個人消費が落ち込んだところに新型コロナウイルス感染症が追い打ちをかけた。
そして2020年4月-6月期の実質GDPの成長率は年率でマイナス28.1%と過去最大の下落となり、感染拡大が経済に大きな打撃を与えていることを浮き彫りにした。

新政権で経済立て直しを担う西村大臣

菅新政権でその経済を立て直す大きな役割を引き受けているのが、西村経済再生担当大臣だ。
内閣府特命担当大臣のひとりとして経済財政政策を担うほか、成長戦略などの青写真を描く内閣官房のスタッフを率いる。

西村大臣といえば、ほとんど毎日コロナ対策についての記者会見を行い、今や国民におなじみの大臣。
3月に新型コロナウイルス感染症の担当にもなった西村大臣は、半年近く関係者間の意見の調整などに汗をかいてきた。安倍政権での会見回数は303回に及ぶ。
菅新政権でも再任され、これまで同様「感染症対策と社会活動・経済活動の両立を目指す」ことになる。

西村大臣:
アベノミクスを継承してそれを発展させていく、基本的な方向性は同じと認識している

再任翌日の記者会見では、今後についてこう語った。

『骨太の方針』実行計画…年末に向けて

毎年政府がとりまとめる、政権が取り組むべき課題や予算に反映させるための基本的な指針を示す『骨太の方針』。
2020年は、コロナ禍の7月に安倍政権下で閣議決定された。
この「骨太の方針2020」には、高齢化社会や企業の生産性の低さなどのこれまでの構造的問題に加えて、コロナで浮き彫りとなった様々な課題にどう取り組むかが盛り込まれている。
新たな取り組みとは、たとえば、社会全体のデジタル化を加速させるため集中的に投資をして環境を整備し、新しい働き方や暮らし方を推進すること、東京一極集中を解消するための地域活性化、そして医療体制の強化などだ。

経済財政諮問会議・未来投資会議の合同会議(7月17日)

西村大臣は、コロナ禍で浮かび上がった様々な課題を念頭に、足元の感染症対策に目を配るとともに「国民の雇用を維持して生活の下支えをし」、必要に応じて「経済が伸びない時には刺激策も必要なので、躊躇なく臨機応変に時期を逸することなく対応」(再任翌日の記者会見)することになる。

内閣府の幹部は「新総理も骨太をちゃんとやっていくと言っているので、年末に向かって実行計画を作っていく。その作業はすでにスタートしている。」と語っている。
2020年中に「骨太の方針2020」の実行計画が作られ、それに沿って「感染症拡大を踏まえた経済財政運営と経済・財政一体改革」が具体化され、できるものから着手していく流れだ。

先送りになっている課題も…

一方、全世代型社会保障改革担当でもある西村大臣は、「全世代で能力に応じ負担を分かち合う」社会保障の実現に引き続き取り組むことになる。
この改革では、パートで働く人の厚生年金の加入対象範囲が拡大され、年金受給可能年齢が75歳まで繰り下げられることになった。

しかし、75歳以上の人の医療費窓口負担の1割から2割への引き上げについては、対象となる所得の線引きについての結論が感染症の影響で先送りになっている。

菅総理から「躊躇なく臨機応変に時期を逸することなく経済財政運営を」と指示されたという西村大臣。
コロナのもとでの経済再生をどう担っていくのか。
実行部隊である内閣府と内閣官房も、重い課題に向き合うことになる。

(フジテレビ経済部 内閣府担当 芦田優子)