カメラの前に花束を持って現れた、ロシアのプーチン大統領。
色とりどりのバラなどを集めた花束を贈った相手は、安倍晋三元首相の妻、昭恵さんでした。
日本時間の30日未明、ロシア大統領府が映像を公開して初めて明らかになった昭恵さんによるモスクワへの電撃訪問。
大統領府クレムリンで、プーチン氏が自ら歩み寄り、笑顔で花束を手渡すという異例の厚遇ぶりで迎えられました。
プーチン大統領:
ご主人はロシアと日本の関係の発展のために、とても尽力された。私たちは、ご主人とともに真剣にこの道に沿って進んできました。
プーチン氏の言葉に涙ぐむ場面もあった昭恵さん。
プーチン氏は、安倍元総理について「素晴らしい政治家だった。本当に多くのことを一緒に成し遂げた」と振り返り、改めて哀悼の意を表しました。
一方の昭恵さんは、ウクライナ侵攻後も安倍氏がプーチン氏との会談を望んでいたことを明かしました。
安倍氏の在任中、実に27回にもわたって首脳会談を重ねた相手がプーチン氏です。
2016年12月には、安倍氏の地元、山口・長門市で日ロ首脳会談が行われ、昭恵さんも同席しました。
その昭恵さんに対し、「あなたは常にロシアで歓迎される客人だ」と述べたプーチン氏。
面会後は、昭恵さんを大統領専用車両アウルスでボリショイ劇場まで送り届け、昭恵さんはバレエ団の「せむしの仔馬」を鑑賞したといいます。
2024年12月には、アメリカ大統領返り咲きが決まったトランプ氏といち早く面会し、話題となった昭恵さん。
今回、昭恵さんをモスクワに迎えたプーチン氏には、どのような思惑があったのでしょうか。
筑波大学人文社会系・東野篤子教授:
常にロシアが、日本の政治家や政治家の家族を見渡して、誰が今、ロシアにとっての宣伝・プロパガンダに使いやすいのかといつも見ていて、その中で昭恵さんに白羽の矢が立ったと考えている。
林官房長官は、昭恵さん側と政府としてやり取りはしていないことを明かしたうえで、「いずれにせよ本件について、政府としてコメントする立場にないということでございます。基本的にロシアへの渡航はやめていただくよう、国民の皆さまに求めているところでございます」と述べました。