去年4月、県立鹿本高校のサッカー部員が遠征先の宮崎市で落雷に遭い一人が意識不明となった事故について、県教育委員会が設置した第三者委員会は20日報告書を提出しました。
報告書は「サッカー部の指導者たちが落雷が起こりうる状況について正確な情報を得ようとしていなかったことが事故発生の要因だ」と指摘しています。
この事故は去年4月3日午後、宮崎市内のサッカー場に雷が落ち、遠征中だった県立鹿本高校の生徒18人が病院に搬送され、うち1人が意識不明の重体となったものです。
県教委は弁護士や学識経験者などでつくる第三者委員会を去年12月に設置。事故原因や再発防止策について現地視察を含め調査を進めてきました。
20日は猿渡 健司 委員長が、県教育委員会の越猪 浩樹 教育長に報告書を手渡しました。
報告書は事故発生の要因について「客観的には落雷がありうる状況で、それを把握せずに屋外での活動を継続していたことにある」と指摘。
当日、宮崎県内は大気の状態が非常に不安定で、宮崎地方気象台は事故の前日から宮崎地方に雷注意報を発表。『落雷と突風に関する気象情報』も出していました。
しかし、鹿本高校サッカー部の監督ら指導者は、天気の変化について上空を目視で観察し、雨雲レーダーを確認するのみで、気象庁の『雷ナウキャスト』や注意報など雷に特化した情報を得ようとせず、状況を把握していなかったということです。
その上で屋外での活動を実施する責任者が雷についての正確な知識を身につけ、最新の情報を得ること。
また、落雷の危険性があるときは躊躇なく屋外行事を取りやめ、安全な建物の中に生徒を避難させることなどを再発防止策として提言しています。
【事故調査委員会 猿渡 健司 委員長】
「責任を追及することが目的ではない。何があったかということを明らかにして、どうしたらいいのか再発防止を提案してほしいということだったので、そういうことでやっている」「こういう事故があったし、他県(奈良)でもあったという報道もある。今後も起こり得るからぜひとも安全対策はやっていただきたい」
県教委によりますと、当時、意識不明になった生徒は今も入院中ですが、現在は高校を卒業し、意識が完全に回復するまでには至っていないものの、20日は車いすに乗って県庁を訪れ、保護者とともに報告書について説明を受けたということです。