日産自動車が世界に17ある工場のうち7つの工場を閉鎖する方針を明らかにしたことに対し、福岡県の服部誠太郎知事は20日の会見で、福岡県苅田町にある2工場が閉鎖の対象になることは考えにくいとの見解を示しました。

会見での服部知事の主な発言は以下の通りです。

Q.日産の国内工場閉鎖方針について福岡県内にも苅田町に2工場あるが、影響をどのように受け止めているか。

A.日産の(神奈川県にある)追浜工場と湘南工場の閉鎖に関する報道は承知しておりますが、日産自動車本体からは正式な発表はなく、また、当該工場にお勤めの従業員の方々に対しても閉鎖が決定したという連絡はなされていないと聞いております。そのため、現時点でこれらの工場の閉鎖を前提とした具体的なコメントは控えさせていただきます。


しかしながら、日産が現在進めている経営再建の取り組みの中で、世界で7つの工場を閉鎖し、国内工場もその検討対象に含まれているという状況は認識しており、福岡県苅田町にある日産自動車九州および日産車体九州の存続については、県として非常に大きな関心を持っています。

先般、日産のエスピノーサ社長(CEO)が県庁にお見えになった際、私の方から直接、苅田にある2つの工場について日産としてどのようにお考えかをお尋ねしました。

エスピノーサ社長からは、「福岡県の2つの生産拠点は日産にとって今後も非常に重要な拠点である。これらの工場の生産体制や雇用の維持については、状況を慎重に見極めながらベストを尽くす」という趣旨の発言がありました。


実際に福岡県に立地するこの2つの工場について具体的に見てみますと、まず生産能力の面では、エスピノーサCEOも言及されたように、国内において最大の生産能力を持つ工場です。

稼働状況を見ても、他の工場と比較して非常に高い稼働率を維持しています。そして、生産している車種に目を向けますと、例えば日産車体九州では、中東地域などで非常に人気が高く売れている「パトロール」のような、海外市場で人気のある大型車種を生産しています。このような車種を国内で生産しているのは、国内で苅田の工場のみです。

これらの要素や状況を踏まえると、福岡県にある2つの工場が閉鎖されるということは、私としては考えにくいと認識しております。

しかし一方で、工場の生産体制の問題とは別に、日産全体として2万人の人員削減計画が発表されていることも事実です。これは事務職なども含めてと発表されています。

当然のことながら、この件については日産の社内において労働組合の皆様との協議が進められると思いますので軽々に申し上げることはできませんが、このような雇用問題に対しても、状況をしっかりと見極めながら、今後、適時適切に必要な対応を講じていきたいと考えております。

Q.一部報道で追浜工場や神奈川県内の他の工場の従業員を九州の工場に集約するというような話も出ているが、どう対応するか。

A.もし、そのような方針が日産自動車から正式に発表され、詳しい情報が提供されるようであれば、地元の自治体とも協力しながら、県として積極的に協力していきたいと思います。


しかし、現時点では日産からの正式な発表はなく、また、神奈川県や横須賀市の地元の方々、そしてもちろん当該工場にお勤めの皆様も、大変なご不安を抱えていらっしゃると思います。今の段階で、我々が具体的な対応について申し上げるのは、時期尚早であると考えます。

私自身も北九州市の出身であり、かつて新日鉄が(千葉県の)君津に大幅に人員を動かし、その影響が今なお残っていて北九州市に大きな打撃になったという経験をしていますから、現在、追浜や湘南の関係者の皆様は大変不安に思っていらっしゃると思いますので、我々が今、軽々に何かを申し上げるべきではないと考えております。

テレビ西日本
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